InDesign(インデザイン)とは?〜書籍制作に欠かせないDTPソフト〜

紙のお仕事
2017.09.05

 あなたはInDesign(インデザイン)というソフトウェアをご存知でしょうか?
 InDesignはいわゆるDTP(デスクトップパブリッシングアプリケーション)ソフトといわれるもののひとつで、印刷物のページ制作・管理を行うための本格的な文字組版を行うソフトウェアです。早い話が印刷物のデザインやレイアウトを行うためのプロ用ソフトと思ってください。

 世に出る印刷物にはさまざまなものがあります。雑誌や書籍、ポスターなどの紙ものはもちろん、衣類や金属製品など印刷できないものはないといっていいぐらいです。そんな印刷物をデザインしたり制作したりするソフトウェアもいろいろなものがあるのですが、InDesignは特に書籍やパンフレットなどのページものを作る際に多く用いられます。
 例えば当社でも攻略本や設定資料集といったゲーム関連書籍、あるいはゲームイベント用のパンフレットなどを多く作っていますが、これらはほぼすべてInDesignによって作られています。

InDesignの特徴

 InDesignはIllustrator(イラストレータ)やPhotoshop(フォトショップ)などを開発・販売しているアドビシステムズ社の商品のひとつです。
 Illustratorはその名のとおりイラストや作図に特化したソフトウェア、Photoshopは画像処理用のソフトウェアなのですが、出版や広告の分野で活躍するエディトリアルデザイナーともなれば、この三つは最低でもマスターしている必要があります。
 ただ、PhotoshopやIllustratorなら一般の方でも触ったことがある方もいるかもしれませんが、InDesignともなるとさすがに個人で趣味的に使っている人は稀でしょう。

 InDesignの最大の特徴はページ管理の機能があることです。ポスターなどの一枚もの、あるいは数ページのパンフレット程度であれば、Illustratorでも十分に対応は可能でしょう。しかし、雑誌や書籍のように何十ページ何百ページもあるような場合、すべてのページごとに作業が発生します。
 例えば32ページの冊子を作る場合、Illustratorでは最低でも16ファイルが必要ですが、InDesignでは1ファイルで済みます。また、各ページに共通のパーツが変更になったり、ページ数が変わった場合、Illustratorだと修正は全ファイルに及びますが、これもInDesignであれば、マスターページの修正だけで完了します。これらはほんの一例ですが、つまりInDesignはそういうページ管理の機能を備えることで、効率よくデザイン作業ができるソフトウェアなのです。
 最近では、タブレットやWebなど様々なデバイスで最適にレイアウトの調整ができますし、細部にわたるパフォーマンスの向上とさらなる機能追加により、ますます便利になりつつあリます。

 ただ、多機能になった反面、新規にレイアウトデータを作成するときにさまざまな準備と設定を行う必要があり、初心者にはハードルが高く、面倒な点も多いかも知れません。しかし、ここで準備を怠ってページ量産後に重大な問題が発生した場合、立ち戻るために膨大な労力と時間がまた必要になってしまいます。
 そうならないためにも、InDesignの特性を生かした効率の良いエディトリアルデザイン・組版の設定を行うことが重要なポイントとなってくるのです。

InDesignを使ってみよう

 では実際に、当社ではどのようにInDesignを使って攻略本を制作しているのか、InDesignによる攻略本制作の流れを簡単にご紹介しましょう。
 もちろん制作会社によって作業工程にも違いがありますので、今回の話もあくまで“当社の場合”ということでご了承ください。

①デザインの方向性を固める

 まずはデザインの方向性を決めなくてはいけません。初動は編集スタッフが先行して攻略本のコンセプトや掲載する情報を決めますが、それらがある程度固まった段階でデザイナーが加わり、本全体のデザインイメージを練っていきます。

 たとえば……
「今回は低年齢層向けのアクションゲームの攻略本だから、テイストを合わせて、いつも以上に読みやすくやすく元気な雰囲気にしよう」
「色使いもゲームのイメージカラーをベースにしつつ、ヴィヴィッドな感じ」
「文字や写真の大きさも大きめ、場合によってはふりがなも必要かも」といった具合に検討していきます。

 攻略本の場合、元のゲームがありますから、たいていの場合はゲームの雰囲気をしっかり反映させるオーソドックスな形に落ち着きますが、ときにはそういった予定調和を避け、あえてとんがったデザインで勝負する場合もあります。

②フォーマットデザインを作る

 フォーマットデザインとは本のデザインイメージを端的に表してくれるデザイン見本、テンプレのようなものです。編集スタッフと固めたデザインの方向性をベースに、掲載するカテゴリーごとにデザインの土台を作っていきます。
 以前、「攻略本ができるまで~制作の裏側お話しします」という記事で、編集スタッフが作成した「ラフ」にデザインを落とし込むという作業をご紹介しましたが、そのラフはフォーマットデザインの仕様にそって描き起こすため、フォーマットデザインの役割は重要です。

 ポイントとなるのは大きくふたつ。まずは決定した方向性やコンセプトなどにそってデザインされているかどうか。そのためにはどんな表現が必要かを考え、それを実現する素材などを作り上げなくてはなりません。
 もうひとつは必要な情報や素材が無理なく紙面に落とし込まれているかどうか。ゲームに含まれるすべての表現や情報をそのまま誌面に再現するのは物理的に不可能ですので、必要なものを取捨選択し、いかにそのゲームにあった形で見せられるかが勝負です。要素が足りないのは論外ですが、逆に多くの素材を盛り込みすぎてしまうのも、読者にとっては読みにくい場合もあるので要注意。ゲームのファンや読者を想定し、その目線にあった表現をすることが大切です。

③デザインに必要なのはセンスだけではない

 以上のようなことを心に留めながら、実際のフォーマット制作作業をInDesign で進めていきます。素材の制作自体はPhotoshopやIllustratorも駆使するわけですが、最終的にまとまるのはInDesignのドキュメント上が主になります。

 そして、ここから重要になるのが「数字によるデザインの管理」です。
 攻略本を手にしたとき、知りたい情報はまず“もくじ”から引くことが多いとは思いますが、たとえばロールプレイングゲームなどでは、「システム解説」「バトル解説」「ストーリーやキャラクター解説」「マップ攻略」「データ解説」などの要素があり、それぞれの情報量は実に膨大になります。ひとつひとつを感覚で組み立てていてはあっという間に時間が足りなくなってしまいます。
 そこで大量のページを量産するために重要なのが「数字によるデザインの管理」というわけです。

 具体的には、ページを構成するノンブル(ページ数)や柱、見出しや本文、囲み記事に至る全要素をどういう条件で配置するかルール付けし、これをInDesign特有の機能を駆使しつつ、計算によって配置をしていきます。細かい作業方法などは会社によってさまざまなので割愛しますが、ここを万全にすることでレイアウトによる事故もなくなり、安心に効率よく量産が可能になるわけです。
 また、こだわって制作したパーツなのに、あまりに細かく作りすぎたためにデータの容量が重くなり、その結果、作業効率が低下してしまうこともあります。実際に量産したときのことも考えて作ることも、大切な計算のひとつになるのです。

④画像のデータ管理

 編集スタッフが撮影した画像データを管理するのも、当社のデザイナーにとって重要な役目のひとつ。特に注意しなければならないのが色味の調整です。
 通常、ゲームやテレビ、コンピュータの映像はRGBというカラーモードによってモニター上で表現されています。一方、印刷ではCMYKという表現方法となるのですが、実はCMYKはRGBに比べると表現領域が狭く、RGBをそのままCMYKに変換すると色味が微妙に違ってくるのです。
 具体的には色味の鮮やかさが損なわれ、暗く沈む傾向にあるのですが、それを解消するために、CMYKでも適正な色味になるように毎回、色調の設定を行なっています。

⑤組版のシステム構築

 データ管理についての例もひとつ挙げておきましょう。
 昨今のゲームでは膨大なアイテムや敵の情報が含まれ、これをすべて解説するというページも珍しくありません。しかしながら画像付きの何百という膨大なデータページをひとつひとつ手作業で作成しては、どこでミスが発生するかわからず、また大変非効率で制作時間がいくらあっても足りません。
 こういう場合はインデザインをサポートする特別なソフトウェアも併用し、大量の組版を効率よく組むシステムの構築を行います。
 そして、いったん構築が完了すれば、あとは自動で流し込み作業が可能となり、100ページ単位で量産しなければならないような大型攻略本の制作も実現できるのです。

おしまいに

 というわけで攻略本を制作するデザイナーにとって、InDesignは欠かすことができないソフトウェアとなっています。クリエィティブな要素だけではなく、組版というテーマを意識し、最先端のソフトウェアやスクリプト、データ管理のシステムに精通することもまた、デザインという仕事の重要な要素となっているのです。

 今後は電子書籍やWEBの知識も必須となるでしょうし、デザイナーという仕事もすっかり様変わりしている昨今です。

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