3D・CGの作り方〜入門者のための概略紹介〜

WEB・デジタルのお仕事,イラストのお仕事
2017.07.25

 当社ではイラスト制作の業務を請け負っています。これらは主にモバイルゲームなどに使用されるキャラクターや背景の2Dイラストがメインですが、最近はその担当者様から3Dの制作のご相談を受けることが増えてきました。
 当初は3Dの専門家も社内にはいませんでしたが、お客様の「困った」にお応えするのが当社のモットー。この声に何とかお応えしなければと考え、社内で打合せを重ね、技術者を雇い入れ、体制を整えて、ついに昨年から3D制作にも携わるようになりました。

 そこで今回は、昨今のソーシャルゲームでも主流となりつつある“3D化”について、どのような工程を経てキュービストが制作しているのか、少し噛み砕いて説明させていただきます。
 なお3D制作も会社によってさまざまな制作工程がありますが、今回もあくまで当社の場合ということでご了承ください。

①3Dソフト(ツール)の選びかた

 まずは現在、使用されている3Dグラフィックの要となる3大ツールを紹介します。用途や目的に応じて多少の違いはありますが、どれもメジャーなソフトですので、基本的にはどれを選んでも問題ありません。

MAYA(開発元:AUTODESK)
 皆さんが映画などでよく見ている3DCGは、ほとんどこれで制作されているといっても過言ではありません。
 MELというスクリプト言語でプラグインを独自に開発し、臨機応変な用途に耐えられるので使い勝手が非常によいのが特徴です。

3DS MAX(開発元:AUTODESK)
 こちらも主流のソフトです。プラグインが非常に豊富でモデリング、アニメーション、VFX等、3Dに関わることならたいていできます。
 「開発元がMAYAと同じ?」と気づく方がいると思いますが、もともとはKinetix社の製品でいろいろな事情があって……現在のAUTODESK社が開発元になってます。固定ファンも多く、MAXと言う名前がとても気に入られているソフトです。

LightWave(開発元:NewTek)
 こちらは主にゲーム開発のモデリング用途に使用されることが多いソフトです。モデラーとレンダリングやアニメーションを行うレイアウトに分かれているぶん、軽く作業ができるという点で、フリーの方に人気のあるミドルエンドのソフトです。ハイエンドの3DCGに使用することもできますが、非常に技術を要します。

②最初に必要になるのが三面図

 オリジナルの新規ゲームであっても既存の2Dゲームの3D化であっても、まず必要になるのが的確な原画イラスト、すなわち「三面図」です。

 なくても作ることはできますが、それでは“正確”な3Dモデルは作れません。まずは元になるしっかりした三面図が必要になるのです。
 完全にオリジナルでイチからおこすということであれば、イラスト自体のテイストや方向性などを事前にしっかりと固め、ゲームの仕様書なども参考にします。もちろん、そのテイストにしっかりマッチしたイラストレーターさんを起用することも重要です。

●データのファイル形式について
 ちなみにイラストのデータをいただく場合、そのデータのファイル形式で、意外にその後の作業に影響が出ることも。ここでファイル形式の違いを少し解説しておきましょう。
 基本的にはPSDとAIが、劣化のない生データとして便利なファイル形式です。PNGに関しては、試作段階で色の仕様変更がある場合にこの形式が多くなります。三面図としては完成形の若干軽いデータ形式でそのまま使えます。JPGはかなり劣化するため、加工が必要になるので、三面図には向いていません。
【PSD】Adobe Photoshop 形式
 一般の画像ファイルとは異なり、Photoshop上のレイヤー(層)に分けて描くことで、一枚画になる前の各制作段階の情報を入れることができるのが特徴です。また、各レイヤーでは描かれた箇所以外が切り抜かれた状態で保存できます。
【AI】Adobe Illustrator形式
 Illustratorというグラフィックソフトで制作されたファイル形式です。ベジェ曲線という針金みたいな線をぐにょぐにょ曲げることで絵を描き、切り絵を貼りつけるように制作するものです。
【PNG】
 ポータブル・ネットワーク・グラフィックスの略。圧縮による画質の劣化のない可逆圧縮の画像ファイルフォーマットです。アルファチャンネル(透過)ができるファイル形式なので動画などにも使用します。
【JPG】
 ジョイント・フォトグラフィック・エキスポート・グループの略。一般的に非可逆圧縮の画像フォーマットファイル。メールとかで添付できる少し劣化したファイル。

③モデリング/三面図に沿って“頂点”を配置する

 いきなり脱線してしまいましたが、三面図の話に戻りましょう。三面図イラストを準備できたら、いよいよ3Dソフトの座標軸上にのせてモデリングをしていきます。
 3DS MAXを例に出すと……右の図のような感じになります。
 三面図イラストは正面・側面・背面の3枚の絵があり、これをZ軸・X軸に配置して、下絵として使用します。昨今では3Dスキャナーなるものが出てきていますが、それのイラストバージョンと考えてください。
 次に「ポリゴン」という概念が出てくるのですが、3Dゲームをプレイする方なら一度くらいは聞いたことがあるはず。簡単にいうとポリゴンとは一枚の“板 ”です。頂点が四つある長方形を頭に描いてください。
 この頂点を増やし、辺(線)をつなげて板をどんどん構成していきます。これを三面図にそって、板を構成しながら頂点を配置するのがモデリングという作業です。

 ポリゴン自体の「法線(ポリゴンの面に対して垂直な理論上の線のこと)」が表か裏かで、穴が開いたりもしますが、これは当然バグとなりますので、表に向くように修正を行います。
 ちなみに辺の状態で表示したものを「ワイヤーフレーム」といいます。これもゲーム好きにはすっかり一般的になった言葉といえます。
 モデリングの仕方は十人十色となり、終着点が同じでも作り方はほとんどがオリジナルです。独自の工程を作って、スクリプトプログラムもそれに合わせた作りとなります(技術的なことは、ここで記載するととてつもなく長いので割愛させていただきます)。

 なお、Z-brush(開発元:Pixologic)というソフトには「スカルプティング」という技法があるので紹介します。これはできあがったモデル全体を、まるで粘土をこねるようにして自由自在に変形させて制作することができるもので、細かいディテールまで直感で作れるようになります。
 ただし、とんでもなくポリゴン数が発生するため、このままゲーム機上に乗ることはまずありえません(超ハイスペックPCでレンダリングされたのがVFXとして親しまれています)。

④ポリゴンに絵を描いていこう

 さて、そのようなポリゴンを形成していくと……何の味気も無い、灰色の物体ができあがっていきます。
 『うん? 色はモデリングしながら塗っていくんじゃないの?』と疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、色はモデリングができあがってから塗っていきます。これに対応するために、Z-brush(開発元:Pixologic)やmodo(開発元:The Foundry)というソフトがあるのです。

 これらのソフトでは、モデリング自体にテクスチャーペイント(描き込み)が可能です。
 厳密にはポリゴンに絵を描くのではなく、「テクスチャー」というキャンバスに絵を描いて、ペタっとシールを張る感覚で設定します。これを「UVマッピング」といいます。ポリゴン数の少ないモデルでも凸凹を滑らかなように見せることができるノードマップというテクスチャーなど、これも幾多にも分かれます。
 どこに貼るのか設定するのは3DCGデザイナーの仕事です。テクスチャーに対応するポリゴンを設定しておけば、あとでポリゴンを動かしても、それにあわせてテクスチャーも対応してくれます。

 

 

 

 

 

 

●テクスチャーの種類
 ここでテクスチャーの種類についても簡単に紹介しておきましょう。これらのテクスチャーを駆使して、3Dモデルをテイストに合わせて表現させています
【カラーマップ(ディフューズマップ / 拡散反射マップ)】
 素材自体のカラーなどを書き込むための絵データ。
【バンプマップ】
 白黒のテクスチャーで、オブジェクトのシルエットには変化せず、凹凸を表現するものです。
【ディスプレイスメントマップ】
 白黒のテクスチャーで、オブジェクトのシルエットを変化させます。
【法線マップ (ノーマルマップ)】
 カラーなのですが、カラーマップとは異なり、高さからモデルがどのようにライティング、反映されるかを模倣できるものです。
【スペキュラマップ(鏡面反射マップ)】
 白黒のテクスチャーで、3Dソフト上のモデルの各部分で光沢の量を決定します。
【マスクマップ】
 テクスチャー自体にアルファ(透過)を使用できます。Photoshopを使用されている方にはお馴染みでしょう。

⑤ボーンリギング/キャラクターを動かす仕組み作り

 さあ、苦労の甲斐あって、モデリングとテクスチャー作業も終わり、キャラクターが完成しました。
 しかし、喜ぶのはまだ早い。このままではキャラクターはただの物体。石像や木像と変わりません。ここからは見出しにあるようにボーンリギングという作業が必要になるのです。
 ボーンリギングとはキャラクターを動かす仕組みを作ること。BONE(ボーン)は直訳すると骨ですが、3DCGソフトによって、例えばMAYA ではSkeleton(スケルトン) 、3DS MAXではBiped(バイプ)というふうにも呼ばれます。実際の人の身体には骨があり、関節で曲がるようになっていますが、キャラクターにも同じように骨や関節が必要です。そこで作業としてはまず骨を埋め込むことから始めます。


 正しい場所に埋め込まないと、あとでポーズをとったときに不自然になりますからここは慎重に。関節はポリゴン数を増やして、曲がっても変形しないよう、ここも入念に設定します。人間と違うのは、服や髪の毛といったものにもボーンが必要なところでしょう。こうしたボーンの組み込みをすることをRIGGING(リギング)と呼ぶわけです。
 最後にいろいろな動作を試し、キャラクターが変形しないか不自然な形にならないか調整をすれば完了です。

 なお、3Dモデルやテクスチャー制作をする人をモデラー、ボーン構築とモーション自体の設定をする人をリガーと呼び、両方できて、さらにシーン自体のアニメーション設定までできる人をジェネラリストと称しています。
 蛇足ですが、それら技術者に比較的好まれるのが、MAYAや3DS MAXといったソフトです。
 キャラクターにポーズをとらせる際には大きくFK(Forward Kinematics)とIK(Inverse Kinematics)という二つの方法があるのですが、両ソフトにはこのFKとIKのテンプレート設定がプラグインとしてあり、さらに世界レベルで普及しているため互換性がいいのです。

■おしまいに

 以上が大変おおまかではありますが、3DCG制作業務のあらましです。ソフトの操作は複雑で難しいと思われがちですが、決してそんなことはありません。もちろん大変な仕事ではありますが、キャラクターイラストだけでなくアニメーションやフィギュア、背景にゲームロゴなど様々なものを作り出せる喜びがあります。
 また、ソフトの基本的な使い方を覚えてしまうと、まったく新しい観点でゲームを見ることもできます。
 今回の記事で3DCGの制作に少しでも興味を持っていただけたなら、ぜひご自身で体験してみてはいかがでしょうか。

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