サイン会へ行こう!〜リアル書店ならではのお楽しみ〜

紙のお仕事,業界裏話,思わずシェアしたくなる話
2017.07.11

 あなたは書店で行われるサイン会に参加したことはあるでしょうか。文字どおり、書店で購入した本に著者のサインをもらうイベントです。
 ゲームとはあまり関係のない話題かと思われるかもしれませんが、ゲームにまつわる事業を幅広く手がける当社では、攻略本をはじめとしたゲーム関連書籍の出版や制作も重要な仕事のひとつ。その関係でときにはサイン会を手がけることもあるのです。

 ちなみに書店では、サイン会以外にも日々いろいろなイベントが行われています。
 サイン会や握手会をはじめ、絵本の読み聞かせといった子ども向けのイベント。最近では発表者がおもしろいと思った本を持って集まり、ディスカッションをしてチャンプ本を決めるビブリオバトルなどもあります。昔の話では書店でリングを作ってプロレスを開催したという逸話もありますが、真偽のほどは定かではありません。

 しかし、どのようなイベントであっても基本的には目的はひとつ。書籍の販促活動の一環です。そんな書店イベントの中で、今も昔もポピュラーなのが、著者によるサイン会というわけです。
 ただ、サイン会の存在は知っていても、その内側がどうなっているのかまでご存知の方は業界の関係者でもないかぎり多くはないでしょう。

 というわけで今回はいつもと少し趣を変えて、サイン会の裏側を少しお話ししようと思います。

サイン会実施に向けて

 最近はTwitterなどで積極的に読者と交流する著者もいるようですが、サイン会はめったにない、面と向かって作家や漫画家と触れ合う機会になります。

 話題づくりにつなげたい、本をたくさん売りたい等々、各社の思惑や裏事情はいろいろあるのでしょうが、サイン会は基本的には新刊を出版したタイミングで行います。
 サインをするのはもちろん書籍の著者である作家や漫画家。あるいは写真集やエッセイを出版したアイドルや俳優、タレントの場合もあります。ゲーム関係ですと、ゲームのディレクターやプロデューサー、出演する声優などで行ったりもします。
(この記事では便宜上、以下、サイン会を行う人を「著者」と呼んでいます)

 サインを書いてもらう本は当然購入なので、読者としては持っていない本を購入するタイミングがいちばん嬉しいし、書店としても集客しやすいタイミングでもあります。
 著者からの希望であったり、出版社との契約であったり、書店からの打診であったり、企画が持ち上がる理由はさまざまですが、出版社・書店はその機会を最大限に活かすべく、混乱のないよう前もってレギュレーションを固め、準備を進めます。

どんなサイン会にするか

 サインをする側によって、サイン会の内容や規模はがらりと変わります。
 読者の名前を入れてくださるような、一人ひとりとコミュニケーションを取りたい著者、サインと一緒にイラストも描いてくれる漫画家やイラストレーターは当然一人ずつの時間がかかりますから、人数は少なめになります。
 常に講演などを行う話好きの著者はトークショーを兼ねたり、編集者とのディスカッションを交えたあとにサイン会をしたりします。
 人数を多くさばきたいときやアイドルの場合、あらかじめ準備しておいたサイン本を手渡して握手をする握手会になることも。
 まずは著者がどういう立場の人なのか、性格はどうか、本人の希望はどうなのか、それらの要素を加味することが重要なポイントなのです。

 そういった要素をもとに、人数や規模を決め、場所を決めていきます。ちなみにサイン会を行う場所は、著者の地元もあれば大型書店もあり、さらには出版社との関係で決まる場合もあるので一概にはいえません。
 サイン会は一日で本を何十冊と売るチャンスなので、書店も嬉しいイベント。ある程度の集客が見込めれば、基本的にはNGとなったりはしませんが、サイン会をよく行っている書店の方が慣れていたり、著者の控室などの準備もあるので、やっぱり偏ってしまうところはあります。

事前の告知が重要

 さて、だいたいのサイン会は、当日ないし前日に書籍を購入して整理券をもらい、サイン会に参加するという流れがほとんどです。著者の知名度や書店の規模にもよりますが、50〜100人来ればまずは大成功といえます。
 この人数を集めるため、サイン会が決まった時点で出版社・書店・著者のHPやTwitterなどで告知を行うほか、メディアにプレスリリースを打って紹介や当日の取材なども募集します。

 取材が入ると記事になり、それが雑誌やインターネットにあがり、さらには記事がテレビで紹介されたりすることもあります。集客の部分でも、売上冊数の部分でも大きく影響するので、芸能関連の場合はやはりここを攻めたいところです。

 サイン会まで、書店担当者と連絡を取りながら、日々整理券の枚数を確認します。あらかじめ整理券がさばけていれば安心ですが、当日になって半分しかさばけていないとなると焦ります。
 並行して書店のどこでサイン会を行うか、サイン会に並ぶ動線をどうするかを詰めます。慣れている書店であれば、百戦錬磨の書店員がいるので安心です。
 店内でもサイン会のある先生の既刊本を充実させたり、ポスターを張ったり、店内でサイン会の呼びかけを行ったりしながら当日を迎えます。

さあ、サイン会当日だ

 始まりの掛け声、アナウンス、先生の登場、拍手、でサイン会は始まります。
 スタッフの仕事は、整理券の回収、導線の案内係、「撮影禁止」のプラカードをもっての声掛け、芸能人の場合はプレゼントの受け取りなどを出版社と書店で振り分けます。
 参加者は時間になると整理券を見せ、書店員の指示にしたがって列に並びます。整理券に余裕があれば飛び入りももちろんOKです。
 混乱を避けるために離れたイベント会場でサイン会を行う書店もありますが、たいていの書店では店内で行うことが一般的です。

 サイン会中は、いつもの書店の喧騒と違う、何かやってるなという雰囲気があります。
 読者が感想や思いを伝えていたり、ずっと疑問に思っていたことを尋ねているのを、ふらりと書店に立ち寄った人たちが、足を止めて遠巻きに眺めていたりします。そして、そろそろ終わるというころになると、そういう人たちまでなんとなく列に並んだりすることも。サイン会を開催して本当によかったと思う瞬間です。
 そして最後の一人のサインを終えると、著者は控室に下がり、サイン会は終了です。

サイン会後も仕事は終わらない

 サイン会が終了しても、そのままお開きとはいきません。片付けはもちろんですが、書籍の在庫確認や精算を行うほか、先生によっては書店ディスプレイ用の色紙や書籍にサインをいただけることもあります。
 また、今日のイベントの様子をプレスリリースとして発信したり、ブログやインターネットで紹介したりと、書籍を売り伸ばす次の一手へと繋げていきます。最低でもこのあたりまで目配りができないと、せっかくのサイン会も活かすことはできません。

おしまいに

 以上、簡単ですがサイン会のあらましをご説明しました。書店はただ本を売るのではなく、サイン会のようなイベントを企画したり、書籍の展開や棚に工夫を凝らしたり、あるいは独自のフェアを組んで集客したり、人が集まる場でもあるのです。本と一緒に空間を売る商売ともいわれ、そこがインターネットとの大きな違いでもあります。
 ゲームでも発売記念イベントなどがショップ店頭で行われることがありますが、あれも同じことです。

 インターネットでの購入は確かに便利ですが、サイン会で好きな作家さんや漫画家さん、そしてゲーム開発者さんと触れあえるのはリアル書店、リアルショップならでは。
 わくわく感や生の感動を味わうなら、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です