美術系専門学校・美大卒のスタッフに聞いてみた〜授業で学んだ内容はどれくらい役に立つのか〜

 イラスト、アート、グラフィック……呼び方はさまざまですが、こういったジャンルの仕事に就こうとしたとき、どんな方法があるでしょうか。企業に所属して実戦的に腕を磨く? あるいはフリーランスでキャリアをスタートさせる? しかし、そういったルートはすでにある程度の技術を身につけた人でないと難しいかもしれません。
 一概にはいえませんが、やはり最初は美術系の専門学校や美大で実技や知識を学ぶ人が多いのではないでしょうか。ただ美術系は才能がものをいう世界。最近は独学の人も増えているようですし、学校がどの程度役に立つのか不安な人も多いと思います。

 そこで今回は、当社のイラスト部門に在席する専門学校や美大出身のスタッフに話を聞いてみることにしました。内容は「授業で学んだ内容が、実際どれくらい業務に役立つのか」です。
 もしイラスト関連の仕事を志望されていて、かつ関連の学校へ進学を検討されている方は参考にしてみてください。

 

役に立ったこと

 まずは授業で学んだことのうち、現在も役に立っているものについて紹介しましょう。

ツールの使い方が学べる

 現在のイラスト制作は、作業性やその後の取り扱いからデジタル環境での制作が一般的です。使用するツールも当然デジタルのツールになります。その使い方についての学習がやはり役に立つという回答が多くありました。

 これだけ情報があふれる時代、ネットで少し検索すれば、ツールの指南記事や動画、テクニック集という情報を得ることはできます。しかし、それらはあくまで一方的な情報に過ぎないので、どこがわからないのか、どう悩んでいるのか、個別指導などの対応は普通してくれません。
 また、ネットの発信者は、ツールの使い方においてはプロかもしれませんが、教育・指導についてはアマチュアであるケースが少なくありません。学校の場合はわかりやすい説明、体系的に個別の指導が受けられるという点で、メリットは大きいでしょう。
 特に役立った内容としては下記のようなものがありました。

・レイヤーの使い方について
・jpgとpngの違い(透過部分について等)
・解像度について(モノクロ、カラー時の違い)
・色の塗り方、仕上げ方の類型
・イラストに対するエフェクトの効果……etc.

実技が身につく

 ほかにはイラスト制作の基本的な技術についても、「独学では何となく感覚で済ましていたであろう部分にも取り組めてよかった」との声がありました。それらについては以下のようなものがありました。

・パースの取り方
・アイレベルの設定
・ラフから完成までの制作感覚……etc.

 おもしろいところでは、「入試のためにデッサンに取り組んでおいてよかった」という声もありました。学校で学んだということではありませんが、それもまた学校がきっかけとなって身についたスキルといえるでしょう。

さまざまな人と出会える

 「同じ夢を持つ仲間が身近にいることがモチベーションになる」、「実際にプロとして活躍する方々の生の声や仕事の進め方を目の当たりにできる」という回答もありました。

 プロをめざすうえで、参考や励みになる出会いがあるというのも大きなメリットといえるでしょう。将来、同期の仲間や師匠と一緒に仕事をする、なんて日が来たらとても素敵なことだと思います。

 

役に立たなかったこと

 「役に立たなかったこと」というと語弊がありますが、なかには現在の仕事であまり役だってはいないなあと感じるものもあるようです。

※あくまで「当社のイラスト部門の仕事」では「あまり」使ってないというだけであって、取り組む意味がないというわけではない旨ご了承ください。

・漫画の描き方、プロットやネーム作成ノウハウ
・デジタル書籍編集のやり方
・日本画の絵具の調合方法
・キャンバスの作り方……etc.
 
 学校の専攻内容などにもよりますが、グラフィックやアートという幅広い内容を受講すると、どうしても興味の対象外や実際の職務には関係ないものも出てくるのは仕方ないところでしょう。

 たとえば漫画とイラストは、絵を描くという共通項で同じものと括られてしまうことがしばしばありますが、そのノウハウにはかなり違いがありますし、デジタルとアナログの制作についても技術体系が異なりますので、互いに活かしづらい部分はあったようです。

 

学びに優劣はない

 イラスト部門のスタッフの話を聞いていて興味深かったのは、学校がここまで広範囲に教えてくれるのだという点です。独学の場合は、どうしても自分が必要だと思ったことしか学ばないことが多くなるため、これは非常に大事なことかもしれません。
 というのも、何かに取り組むとき、その分野とは違う知識やノウハウがブレイクスルーになることがしばしばあるからです。たとえば最新の人工衛星には日本の折り紙の技法が用いられていたり、新幹線の静音技術にはフクロウの羽をヒントにしたものがあったり、そういう着想は広く学ばなければ得られません。
 一番ポジティブな意見として「使えないものはないと思います。イラストと関係ない授業でも経験だし、どこかでその知識が役立つかもしれないので」というコメントをくれたスタッフがいました。非常に見習いたいスタンスだと思います。

 ちょっとゆるい結論にはなりますが、専門学校や美大で学ぶことは、結局は自身の学び方や取り組み方次第で、いかようにでも活用できる、ということになりそうです。

 

そんな当社のイラストチームとぜひ仕事を一緒にしてみたい、と思われる方は、以下のページも参考にしてみてください。よろしくお願いいたします。

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