あちらこちらで見かけることが多くなったバーチャルYouTuber。
今ではその活動の幅も広がり、YouTubeだけでなくテレビやCM、さまざまなイベントにも登場するようになり、VTuberという略称でも呼ばれるようになりました。皆さんも一度はどこかで見かけたことがあるのではないでしょうか。今回はそんなVTuberを、あなたの会社でもプロモーションに使ってみてはいかがでしょうかというお話です。
そもそもVTuberとは何でしょう。なんとなくのイメージで、アニメキャラを使ったYouTuberぐらいに思っている人はけっこう多いと思いますが、詳しいところまでご存じの方は意外に少ないかもしれません。
簡単にいってしまうと、VTuberとは2DCGや3DCGを用いたキャラクターによるYouTuberです。
バーチャルYouTuberという名称自体は、VTuber界のパイオニアとされる「キズナアイ」が、YouTuber活動を行う際に名乗ったことが始まりとされています。それが2016年のことでしたが、翌2017年には次々とバーチャルYouTuberが登場し、2018年にかけて大流行します。VTuberという呼称が広まったのもその当たりからで、配信媒体もYouTubeにかぎりませんし、動画投稿やライブ配信など、さまざまな活動が見られるようになっていきました。
ただ、VTuberという言葉の定義もすでに曖昧になっています。極端にいうと、YouTubeをやっていなくても、静止画のイラストであっても、キャラクターによるヴァーチャルな配信者でありさえすれば、ほぼVTuberとまとめてしまっている状態です。
配信媒体が異なる場合、Vライバー(バーチャルライバー)という言い方をするケースもありますが、意味的には同じです。
現在ではインターネット上では1万人を超えるVTuber が活動しているといわれていますが、実は大きく二つに分けることができます。ひとつは企業勢と称される、現実のタレント同様に企業に所属しているVTuber。もうひとつは個人勢と称される、個人で活動を行っているVTuberです。
最近では、日本のVTuberグループが海外展開を積極的に行っており、海外でも注目される存在となってきています。
そんなVTuberを大手企業や自治体も注目するようになり、最近ではプロモーションのためにVTuberとのタイアップを行ったり、自社VTuberを発表したりしています。
いったいVTuberを使ったプロモーションにはどのようなものがあるのでしょうか。
最もメジャーとされるプロモーション方法で、新作ゲームや新商品をプロモーションするために、主にYouTubeで行うリアルタイム配信です。
一般的に再生回数が落ちやすいプロモーション配信ですが、多くのファンを抱えているVTuberのリアルタイム配信なら、視聴者とのやりとりを交えることで商品のポイントをしっかりと伝えつつ、高い再生回数を維持できる傾向にあります。
VTuberにはタレントとしての側面もあるため、ファン層にターゲティングしたタイアップ広告を展開し、商品プロモーションを行うことが可能です。最近では、大手コンビニチェーンや食品メーカーなどがタイアップを行い、話題となりました。
また、展示会やフェスなどのイベントで、ゲストとして呼ばれることもあります。
ゲーム内にキャラクターとして実装したり、コラボグッズやノベルティを作成したりすることで、ファン層に購買促進を行うことが可能です。
とくに熱心なファンに対しては、内容次第で企業イメージの向上にもつながります。
ビジュアル的に親しみやすく、若者にアピールできるキャラクター性を活かし、企業以外での活動にも用いることが可能です。実際の例では、オンライン授業の講師役、献血キャンペーンなどに起用されたこともあり、大きな成果をあげています。
リアルな人間ではなくVTuberをプロモーションに使うことで得られるメリットとしては、以下のような点があります。
YouTuberを起用するとしても、自社イメージと100%完全にマッチングする人を探すことはほぼ不可能でしょう。しかし、VTuberであれば、企業のイメージや特徴をストレートに反映させたキャラクターにすることが可能ですし、企画段階から目的にそった性格付けもできます。
ヴァーチャルなキャラクターということで、ゲーム内実装など通常の人間では行うことのできない、アニメーションやイラストを使用した表現豊かなプロモーションを行うことができます。
また、既存のアニメキャラクターを起用すると、どうしてもそれまでのイメージや世界観の制限がかかってしまいますが、VTuberにはそういった縛りがないため、幅広い企画に対応しやすくなります。
通常のタレントとのタイアップでは、タレントにスキャンダルがあった場合、タイアップした企業のイメージも低下してしまうリスクがあります。いわゆる炎上リスクです。しかし、VTuberはアバターを使用し、内容も管理しやすいため、スキャンダルが発生する可能性はかなり低いといえるでしょう。
また、普通のYouTuberと違い、キャラクターとVTuberは切り離して認識されるため、VTuberのメンタル面についても管理しやすくなります。
ファンとの交流が平時から行われているため、熱心なファンが多く、同じファンに対して繰り返しリーチすることができます。
VTuberのファン層は18〜24歳を中心としているため、SNSに精通しているユーザーが多く、熱量の高いファンによってタイアップの情報が瞬間的に拡散される傾向にあります。
Twitterのトレンドでは、世界上位にランクインすることもしばしばあります。
いいことばかりではなく、やはりデメリットも書いておく必要はあるでしょう。他のマーケティング手法と同様、目的をもって運用しないことには効果は発揮できませんし、リスクがないわけではありません。
分野自体がまだスタート間もないこともあり、技術的な面やスタッフについてはそれなりの準備が必要で、従来のYouTuberによる放送に比べれば、より費用や手間はかかると思ったほうがよいでしょう。
運営などについては既存のシステムや機器を流用することも可能ですし、レンタルもあります。キャラクターについてもクオリティやレベル感次第で安価ですますこともできます。ただ、企業オリジナルということを考えれば、あまりお手軽にはできないでしょうし、まずはキャンペーンでのコラボというような、一過性のもので感触を試してみるのもありでしょう。
先に「SNSとの親和性」が高いというお話をしましたが、その反対にVTuberそのものに何となくマイナスなイメージをもった年代、ユーザー層も存在します。
また、VTuberという特性上、どうしても共感を得にくいジャンルもありますので、起用ジャンルについてはそれらを考慮するよう注意が必要です。
「VTuberはスキャンダルリスクが低い」というのはメリットとして挙げましたが、ひとつだけYouTuberにはないデメリットがあります。それは演者さんの正体を特定されるリスクです。基本的には演者の特定はキャラクター性を著しく貶めるため、その機密はしっかり管理しなければなりませんが、ときには演者自身に承認欲求などが生まれることもありますので、大事にならないようルールや契約をきちんと固め、スタッフのサポートも必要でしょう。
いかがでしたでしょうか。
VTuberの活動範囲が広がるにつれて、VTuberを活用するプロモーションがますます期待されてきています。しかしVTuberを使ったプロモーションにかぎらず、メリット・デメリットがそれぞれありますので、その特性を考えて適切に活用することが大切でしょう。
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