どこまでも深いゲームの販促物制作業務

紙のお仕事,WEB・デジタルのお仕事
2017.06.06

 これから発売されるゲームのことを、皆さんはどこで知りますか?
 雑誌の記事やゲームショップのポスター、チラシ、最近ではSNSの投稿やインターネット上の広告バナーなど、いろいろなところで情報を手に入れることができます。これらの「おもしろいゲームが発売されるから、みんな買ってね!」というセールスプロモーションに使うアイテム全般が、「販促物」です。
 当社では新発売のゲームにまつわる販促物を数多く手がけていますので、もしかすると皆さんも知らず知らずのうちに当社の制作したものをご覧になっているかもしれません。今回はそんな販促物の世界の一端を伝えさせていただきます。

  • 販促物はこうして作られる

写真は『妖怪ウォッチ3 スシ/テンプラ』の販促物など ©2016 LEVEL-5 Inc.

 まずは当社で販促物を作るときの流れを紹介しましょう。もちろん必ずしもこのとおりに進むわけではなく、スケジュールによっては同時進行だったり前後が入れ代わったりすることもありケースバイケースです。あくまでもイメージとしてご理解ください。

①【情報収集】~ゲームのことを知る~

 販促物を作る時点で、ゲームの多くはまだ完成しておらず、世にも出ていません。便利なインターネットに頼ろうと検索してみたところで、もちろん出てくるのは未確定の情報ばかり。ときには開発中のゲームをプレイさせてもらえることもありますが、ほとんどの場合、情報源になるのはクライアントさんからいただける、広報用のわずかな資料やスクリーンショットだけという状況です。
 世界観、キャラクター、戦略性、爽快感、臨場感、マルチプレイ要素、音楽、CV、シナリオ……ゲームを構成する要素は山ほどあります。開発陣はどの要素に特に力を入れて作っているのか? 何をアピールすれば、見てくれた人たちの心をつかみ、「このゲームで遊びたい!」と思ってもらえるのか? そのあたりを、わずかな手がかりを元に抽出していきます。
 ある意味、洞察力、想像力、ハッタリ……じゃなかった、創造力が試される仕事といえるかもしれません。

②【企画】~作るものを決める~

写真は『星のドラゴンクエスト』の電車内広告など
©2015-2017 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
©SUGIYAMA KOBO

 そもそもはクライアントさんがそのゲームのプロモーション展開を事前に検討・決定していることが普通です。したがって、あらかじめ何を制作するか決まった状態で依頼をいただくことが多いのですが、ときにはキュービストの方から「こういった販促物を作るのはどうですか?」と提案させていただくこともあります。
 ひとくちに販促物といっても、冊子に看板、あるいはネットに掲載するデータまで、その仕様は千差万別。そこで「何を作るか」を決めるのがスタート地点。言い換えれば「そのゲームには何を使ってプロモーションすると効果的なのか?」ということになります。
 重要なのは、作るものと、それを置く場所によって目にする客層がまったく違うということ。ゲームを買ってもらいたいお客さんの行きそうな場所や、興味を持ちそうな媒体を考えるのですが、こういった視点は普段の積み重ねがないとスムーズにはいきません。

 例えば、こんな風に考えていきます。
・老若男女誰もが知る有名シリーズの続編
→いろいろな人が目にする駅や街中でポスターや看板広告を展開すれば、みんなに見てもらえるのでは?

・上級者ゲーマーたちを対象としたこだわりの作品
→ゲーム雑誌に広告記事を載せたり、ゲームショップにポスターやポップを配置すると、彼らの興味を引けるのでは?

・人気の声優さんが出演する作品
→声優さんにちなんだイベントで、チラシや冊子を配布すれば、ファンの人たちに知ってもらえるのでは?

 当たり前の話ですが、効果があれば何を作ってもよいかというとそんなことはなく、プロモーションに費用には上限がありますから、その範囲内で可能なことという条件がつきます。
 そのため外部スタッフや外部業者とも連係し、同時進行で見積りも作る必要があります。くれぐれも絵に描いた餅にならぬよう。

③【ラフ作成】~内容を考える~

写真は『アサシン クリード シンジケート』 のポスター

©2015 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Assassin’s Creed, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.

 ゲームのことを知り、作るものが決まったら、ついに実作業の始まり。まずはレイアウトやテキストが把握できるような販促物の設計図、「ラフ」を作ります。
 ゲームの内容によって販促物の雰囲気はもちろんガラリと変わります。子どもたちに人気のゲームであれば、絵をたくさん使って、ワイワイとにぎやかなレイアウトに。一方で大人向けのハードボイルドなゲームであれば、クールでかっこよい雰囲気に。ゲームの持つ魅力と、見てもらいたい人たちをつねに意識しながら、どんな見せ方をするかを考えていきます。
 販促物にもよりますが、載せるべき情報は意外にたくさんあります。例えばオーソドックスなものだと……

・パッケージ絵やメインビジュアル
ゲームの顔、すなわち販促物の顔でもあります。たいていのゲームには、とても美麗で気合いの入ったビジュアルが用意されています。これが一番魅力的に見えるように配置しなければなりません。

・キャッチコピー
一番目立つところに置くテキストなので、ゲームの魅力を一言で表す必要があります。しかし、言いたいことはたくさんあるけど、言いすぎると逆にわかりにくい!でも短すぎると全然伝わらないというジレンマ! 語彙力とセンスが問われる要素です。

・製品情報
地味ながら、とても大事な要素です。何しろゲームに興味を持ってくれたお客さんは、次に「これ、いつどこで買えるのかな?」「何のハードで遊べるのかな?」と思うわけですから。お客さんに「製品を買う」という次の段階にスムーズに進んでもらうためにも、ここに確実な情報を載せておかねばなりません。

 これらのほかにも、画面写真、キャラクターのイラスト、初回特典の情報などなど、伝えたいことは山ほどあります。
 ときには「こんなにいろんな情報、こんな狭いスペースに入らない!」とうめき声をあげつつ、見やすさと情報量のバランスをとりながら、考えていきます。

④【デザイン】~見た目を整える~

写真は『ファークライ プライマル』のポスター、カットアウト
©2016 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Far Cry, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Based on Crytek’s original Far Cry directed by Cevat Yerli. Powered by Crytek’s technology “CryEngine.”

 ラフが固まったら、次はデザイン作業が始まります。文字の色にフォント、ロゴの位置に背景、装飾……。
 目立つイラストやメインビジュアルに限らず、目に入るものすべてがゲームの魅力を伝えるための大事な要素です。例えば、同じキャッチコピーでも、こんな風に強調する場所をずらすだけで、ゲームのイメージが違います。

自然に囲まれた壮大な世界を仲間とともに駆け巡ろう!」
→世界観にこだわっていたり、グラフィックに自信があるゲームっぽい!
「自然に囲まれた壮大な世界を仲間とともに駆け巡ろう!
→キャラクターが魅力的だったり、マルチプレイモードが充実してるゲームっぽい!

 何を一番伝えたいかをしっかりと決めつつ、見やすさやキャッチーさとのバランスを考える。そして、同時にもちろん、ゲームの魅力をかっこよくorかわいく伝える! このさじ加減が、デザイナーの腕の見せどころです。

⑤【完成】~できあがり!~

 データが無事にできあがったら作業終了。ポスターやチラシは印刷が終わると見本が送られてきますので、手にとったときの感動もひとしおです。
 販促物制作の嬉しいところは、自分たちの作ったものが、実際に活用されているところを見ることができるということ。ゲームショップに出向いて、目立つところに貼られたポスターを見て、こっそり満足感に浸ったりします。
 あとは発売されたゲームが売れてくれれば言うことなし! きっと販促物でお客さんにたくさんアピールできたのが良かったんだなぁ………とか思うことができますからね!(妄想は自由です)

  • こんな販促物もあります

 キュービストでは、オーソドックスなチラシやポスター、バナー以外にもこんな販促物を作っています。

●ネタ満載!カットアウト
ゲームショップのモニターに貼り付けるシートがカットアウト。一目で印象に残るようなインパクトの強いものを作るために、ときにはダジャレや時事ネタとゲームの内容を絡めることもあります。

●超巨大!ビル壁面看板
ビルの壁を大きく占有する巨大看板。街を歩くたくさんの人の目にも入るものですから、とりわけ気合いも入るというものです。
しかしその分、作業するデータの容量もすさまじく重い……!ギガバイト単位の強大なデータを相手にした、ダイナミック?な戦いが展開されます。

●読み応え抜群!漫画でプロモーション
長々と文章で書くよりも、イラストや漫画で説明する方が一目見たときのインパクトが大きく、人の心をつかみやすいものです。
ときにはプロのイラストレーターさんに依頼して、ゲームの魅力を伝える漫画を掲載したチラシや冊子を作ることもあります。

●ファン垂涎のノベルティグッズ!
今回はストレートな紙系の販促物を中心にお話ししましたが、いろいろなイベントやキャンペーンで配布される非売品のグッズ、いわゆるノベルティもあります。これはまた別の機会に紹介させてもらえればと思います。

写真は『モンスターハンターフロンティアG』の誕生7周年MHF-G感謝祭2014ノベルティ ラバーストラップ ©CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

  • おしまいに

 ゲームに限らず、街の中でなんとなく皆さんの目に入る広告の裏には、いろいろな工夫や苦労がこっそり隠されているかもしれません。見かけたらぜひ、すみずみまでチェックして購買意欲を高めてくださいね!
 以上、販促物の制作現場からお伝えしました。

 

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