ステマ(ステルスマーケティング)とは 〜その意味と落とし穴〜

 マーケティング用語のひとつに「ステルスマーケティング(以下ステマ)」というものがあります。ときどきステマに絡んだ炎上事件がニュースを騒がせたりしていますので、企業のマーケティングの担当者だけでなく、今では一般の方々にも知られた言葉といえるでしょう。
 
 あらためていうと、ステマとは「それが宣伝であると消費者に気づかれないよう行われる宣伝行為」のことです。
 もう十年ほど前になりますが、あるオークションサイトで芸能人を使ったステマ事件が発生したり、飲食店紹介サイトでやらせの書き込みが取りあげられることで注目され、その頃からステマという言葉が広く定着するようになりました。
 昔から「やらせ」や「サクラ」という言葉がありますが、それらも現代ではステマのひとつと言っていいでしょう。
「街頭販売で客を装った人間が、その場で商品を褒めて購入する」
「人気店を装うためにアルバイトを雇って行列を作る」
「テレビ番組の枠を買い取って、その番組内でさも客観的な報道であるかのように、人気商品や優良店舗であるかのように紹介する」
 これらは古典的な手口の一例ですが、共通するのは偽りのイメージを消費者に与えること。現代ではインターネット上での口コミやレビューサイト、著名人のブログや動画サイトによってなされていることは皆さんご存知のとおりです。
 

 

ステマの種類

 もう少し詳しくステマについて見てみましょう。ひと口にステマといっても、その手法はいくつかのパターンに分類されます。
 
広告主等の発信側が、一般消費者のフリをして情報をアナウンス
 業者やサービスの提供者が、一般消費者に成りすまして自ら口コミをインターネット上などに書き込むパターンです。飲食店レビューサイトや通販サイト、各種SNSなどを中心に行われています。
 
広告主等の発信側から依頼された一般消費者やインフルエンサーが、依頼だと明かさずに情報をアナウンス
 発信側が一般消費者や著名人、インフルエンサー(インターネット上などで影響力の大きい人)に報酬を支払って、ブログ記事などの宣伝を依頼し、依頼された側はそれが依頼を受けたものであることを隠したまま、情報をアナウンスします。芸能人のブログでお気に入りの商品が紹介されているケースがかつて問題になりました。
 

ステマが発覚すると

 ステマの種類について説明しましたが、共通するのは、「どれも作られた評価であり、宣伝であることを消費者に隠して行う」ことにあります。
 消費者からすれば、それが完全な第三者による客観的な評価であると思い、そのイメージを信用して商品購入などに至るのですが、その評価が偽りであれば、一般的にはモラルに反していると言わざるを得ません。
 また、虚偽広告とは違って、違法適法の判断が難しいところから日本での法規制は遅れており、まだグレーゾーン扱いではありますが、過去の事例にもあるとおり、発覚した際の炎上は免れず、企業としては大きく信頼を失墜することになります。ここでは具体的な事例は省きますが、「ステマ 事例」などで検索するとすぐに過去の炎上事例がでてきますので参照してみてください。
 
 なお、直接ステマを禁ずる法律はありませんが、企業が商品やサービスを宣伝・広告するルールを定めた「景品表示法」などを適用され、罰金の支払いを命じられるケースはあります。
 ちなみに欧米では法規制がされており、厳重な罰則が設けられています。たとえば広告主がブロガーなどのインフルエンサーに報酬を支払ったりしていた場合、それを明記しなければ最高11000ドル(約120万円)の罰金が定められているそうです。
 

それでもステマをやりますか?

 このように現状、日本ではステマに対する罰則がなくても数々の炎上事件が起こり、企業もそのリスクを承知しているはずなのですが、なぜ依然としてステマ事件は発生するのでしょうか。正直、ステマが実際にどの程度の効果があるのかは厳密には不明です。
 根底にあるのは売上アップへの期待でしょう。最近では普通に広告や宣伝をうってもなかなか注目してもらえません。広告はリアル・バーチャル至るところにあふれています。一方では商品の売上にSNSや著名人のブログ、口コミサイト、レビューサイトが影響を与えるようになってきました。企業が自ら行う広告はいいことしか言わないのが当たり前。しかし、そのような中立的な第三者の声なら信頼できるとして、消費者が参考にするようになってきたのでしょう。
 ステマはそれを発信側が自らコントロールしようとする行為です。テレビ広告などに比べれば費用もはるかに安く済みますし、相応の効果が期待できるとなると、ステマが廃れないのもわからないではありません。
 しかし、あらためて書きますが、ステマは消費者を欺く行為に他なりません。偽の情報を発信している時点で、消費者や社会に対して誠実でないことは明らかです。
 また、実際に炎上した場合のイメージダウンによる損失は計り知れません。しかも他のステマをやっていない同業他社に飛び火するケースもあり、下手をすると業界全体の信頼を失いことになりかねません。レビュー系サイトはかつての事例のために今でもそういう文脈で語られることもありますし、くれぐれも担当者は注意が必要です。
 

ステマを防ぐには

 ではステマを防ぐにはどうすればよいのでしょうか。企業や担当部門、個人のマーケティング・リテラシーを向上させる、といえばあまりに一般的ですが、まずは防止マニュアルやガイドラインを作成することは必要でしょう。これは関係団体が作成しているものもありますので参考にしてもよいでしょう。
 より現場の目線でいうなら、単純な話ですが、「これは広告ですよ」とわかる表記を入れることです。動画であれば音声でもかまいません。
 ポイントは、
 
・広告主と媒体との関係を明示する

・提供した金銭や物、サービス等があれば明示する

・偽装した情報を流さない
 
 SNSであれば広告であることを示す「#PR」「#ダイマ」「#プロモーション」「#広告」といった表記を末尾に入れるだけでもOKです。
 

おしまいに

 ということで今回はステマについて解説してみました。当社でもSNS等を用いたマーケティング施策などをご提案させてもらうことも多いのですが、もちろん細心の注意をはらって行っております。それこそ線引きの難しいご希望もあるでしょうが、そのような場合もぜひ一度ご相談いただければと思います。

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