TokyoComicCon World 〜東京コミコンWebサイト制作の裏側〜

 皆さんは「コミコン」をご存じでしょうか?
 コミコンとはアメリカ発祥の漫画・アニメ・ゲームなどのポップカルチャーの祭典です。日本でも「東京コミコン」として2016年より毎年開催されており、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、初のオンラインでの開催となりました。

 今回、この東京コミコンに当社も各種制作担当として携わりましたので、オンラインコミコンがいかにして作られたのか、その裏側を少しだけお話したいと思います。

オンラインコミコンとは?

 まずはコミコンにおいて、一体どのようなイベントが行われているのか、ご紹介してみましょう。

STAGE/ステージ

 ステージでは各種対談やトークショーが中心です。主催者主導から出展社様主導など、さまざまな形で執り行われ、公式アンバサダー、バーチャルサポーターとして、市川海老蔵さん・キズナアイさん。メインMCとしてLiLiCoさん・小田井涼平さんに登場いただき、ステージを盛り上げていただきました。
 なかでもおもしろい試みとしては、市川海老蔵さんとイライジャ・ウッドさんの演技対談や「MARVELコミックス」編集長と「少年ジャンプ+」編集長による日米編集長対談、昨年「STAR WARS 歌舞伎」を成功させた市川海老蔵さんによるファンミーティングなどが挙げられます。
 これらのプログラムはソーシャルディスタンスなどコロナ対策の配慮を保ちながら実施することができ、オンライン会議ツールや配信プラットフォーム、配信ツールなど映像システムとの連動によって配信されました。

 また、東京コミコンとしては初の音楽ライブが今回プログラムに組み込まれました。こちらでは、BiSHさんをはじめ多くのアーティストに参加いただき、イベントを盛り上げてもらいました。
 放課後プリンセスの関根ささらさんが公式サポーターということもあり、放課後プリンセスのミュージックステージや日本の伝統文化とロックが融合したパフォーマンス集団の破天航路さんの公演なども実施されました。

 

CELEBRITY/セレブリティ

 著名な俳優の方々に来日していただき、直接触れ合う場を創出できるのが東京コミコンの持ち味でもあります。
 しかし、残念ながら今年はコロナの影響により、来日いただくことは断念することとなり、今回はオンラインでのファングッズ等の物販が中心となりました。
 ただ、それだけではユーザーの皆さんにも満足してもらえないだろうと思い、俳優の方々にもご協力いただいて、ファンへのメッセージなどを一緒にお届けできるよう工夫がされました。
 たとえばサインを予約購入いただいた方には、その方のお名前とメッセージを俳優の方々に読み上げながらサインをしていただくといった具合で、ユーザーの皆さんにとっても思い出として残り、ずっと楽しめるコンテンツとなるよう工夫しています。

 

SHOP/ショップ

 ショップでは、東京コミコン限定の商品や先行販売の商品、予約受注の商品など、コミコンならではの商品が多くの出展社様の協力のもと、販売されていました。
 コミコンらしいおもしろいものとしては、絵馬絵師宮川あゆみが描く『スター・ウォーズ』のキャラクターの世界を、浮世絵木版画の彫師・摺師が一点一点丁寧に仕上げた木版画。非常にクオリティの高くユニークな作品にすることに成功しています。
【参考】https://twitter.com/ayumimiyakawa/status/1334028726896521218

 

MUSEUM/ミュージアム

 会場となった場所には貴重なプロップが並んでいます。バットマンのバットモービルやBTTFのデロリアンなどの車両は実際にエンジンがかかり、運転も可能です。
 実際に生で見れば感動できるこれらのプロップですが、はたして今回のオンライン開催では、その感動をどのようにすれば伝えることができるのか。スタッフの間で検討が続けられ、最終的には、搬入後のプロップの紹介動画を現場潜入という形で撮影することになりました。

 

ARTIST ALLEY/アーティストアレイ

 アーティストアレイは、現役のクリエーターたちに実際に会えたり、彼らの作品を間近で見られるコーナー。本国のコミコンでは言わばメインコンテンツであり、プロ・アマ問わず アートを愛する人々が集うエリアでもあります。
 オンラインでどのように交流できるかが模索され、Twitterを利用した自由なエリアを設けたり、プロも含めた交流場を設けたり、インフルエンサーたるアーティストの方々同士の交流やインタビューなどが配信されました。
 ほかにも東京コミコンのキービジュアルコンテストの結果やインフルエンサーの紹介などが実施されました。

 

COSPLAY/コスプレ

 通常開催であれば、会場を彩るレイヤーさんや参加者の方々が自由にコスプレを楽しみ、交流を深めていました。そんな自由なエリアをオンラインで実現するために、エアコミコンとしてTwitterによる交流の場を作りしました。
 また、ステージプログラムの一環として会場ではコスプレのコンテストを行い、市川海老蔵様・キズナアイ様に審査員していただくプログラムを行っています。
 このように好きなもの同士で集まり、思い思いにくつろげるスペースのことをギャザリングスペースといいます。通常開催であれば、会場のあちこちで自然とこのスペースができていましたが、今回のオンラインでは主催者サイドから、そのきっかけを作らなければなりません。そこで、オンライン会議システムを利用したオンラインギャザリングスペースを作り、場の創出に努めました。

 

キュービストの業務

 このように数多くの催し物が行われた東京コミコンですが、当社では以下の部分に携わりました。

Webサイトの立ち上げ

 まずは「TCC World」というオンラインイベント向けのWebサイトの立ち上げです。
 サイトをただ作るだけではなく、映像や配信を伴うサイトでもあるので、企画の意図にそってどのように演出するのか、中継や配信などの映像コンテンツをいかにして掲載していくのかという、映像システムや配信システムの設計にも参画しています。

 また、当日の来場者の計測を行い、ユーザー行動のトラッキングにも携わりました。これにより出展社様がコストをかけた甲斐があったのかどうかといった判断を、具体的な数字をもって説明できるようになります。つまり出展費用を広告費用として置き換えてCTR(Click Through Rate=クリック率)やCPC(Cost Per Click=クリック単価)などを算出。これによってCVR(Conversion Rate=コンバージョン率)へどのくらい寄与しているのかが見えてきますので、CPA(Cost per Acquisition=顧客獲得単価)の最適化にもつながります。
 このような出展社様から見たときのゴールとなる成果指標の数字を出して、次回への改善点と、来年の継続出展交渉を想定したデータひな形の形成に携わりました。
 なお、開催中の現場では、ユーザーにストレスなく閲覧できるよう、上記の映像・配信・Webの一連の流れがスムーズになるよう現場のハブとなって行動し、必要に応じて適宜サイトの更新も行いました。

 

Webサイト制作

 サイト制作自体の流れは一般的なWebサイト制作とそれほど違いがありません。
 まずはヒアリングを通してどんなイベントサイトにしたいのか、先方のイメージと想いを確認します。その内容をもとに要件定義として内容を整理し、確認の擦り合わせを行ったうえで内容を画面に落とし込むべくワイヤーフレームを作成します。
 ワイヤーフレームで確認できたら、デザインを進行させてコーディングの後にシステムと結合してフロント周りは完成。
 バックエンドは要件定義後に、システム要件を定義してサンプル実装を行い、完成したフロント周りと結合させます。

 特色としては、今回はプロダクトが世界規模だったので多言語機能を実装したところでしょう。
 多言語機能はユーザー情報をベースに切り替わるようにするので、文言すべてをベタ打ちではなくシステム化させている点がポイントです。また、他社及び外部のAPI接続によるRESTサービスをいくつか導入しました。これによりステートフルかつスケーラブルなモダンな環境構築も実現しています。

 

チェックポイント

 無事にコミコンを終えてみて、ここが重要だったと思えるところをいくつか挙げてきます。
 まず全体を通していえるのは、コミュニケーションコストの高さ。上記でご紹介したように、今回のサイトはさまざまなエリアの集合体で構成されています。多くの企業が参加し、それぞれまったく異なるコーナーに関わるため、各エリア毎に主導する企業が異なっています。それを集約するWebサイトでは、そのためのコンセンサスを取ることが何より大変でした。コミュニケーションコストが従来のプロジェクトより高い点は重要なポイントでした。

リスクヘッジの必要性

 コミュニケーションコストが高いと、どうしてもフットワークが悪くなり、非常時や緊急性が高いタスクの迅速な消化は難しくなります。
 そこで起こりうるリスクの可能性を事前に予測し、可能なかぎり前もって潰しておくことが重要でした。
 リスクヘッジは当然のこととはいえ、これもコストとの加減が難しく苦労した部分でしたが、幸い、当社管轄のエリアではトラブルもなく、最初から最後まで問題なく進行することができました。

 

コミコン当日の動き

 コミコン当日のコミュニケーションも間違いなく重要です。運営現場ではさまざまな企業がそれぞれのコーナーを運用しています。そんなバラバラの動きがひとつのWEBサイトに集約され、スムーズにユーザーにお届けしなければいけません。
 先にも少し触れましたが、ここでも当社は現場のハブとなって、それぞれのセクション担当と打合せを重ねつつ、WEBサイトの進行管理を確認しつつ、必要に応じてサイトの更新も行っていきました。

 

おしまいに

 コミコンに携わってみて、感想をひと言で表すなら……「激動」でした。
 コミコンへの参画は今年が初でしたので、どれだけできれば成功なのか、あるいは失敗なのか、今年は指標が出しづらい部分はありますが、経験としては間違いなく貴重で有用なものでした。コンテンツのポテンシャルも高く仕上がったと思います。
 もちろんいくつもの課題点も残されています。しかし、非常にチャレンジし甲斐のあるイベントですので、今後もよりアップグレードさせ、ユーザーや出展社の皆様に満足していただけるものを作っていきたいと思います。

 

■関連リンク

制作実績:Web/システム開発
https://www.qbist.co.jp/works/web_appli.html

制作実績:動画/番組制作
https://www.qbist.co.jp/works/movie.html

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