キャラクターから3Dまで〜イラスト課のクリエイティヴ?な日常

紙のお仕事,イラストのお仕事
2017.05.16

 当社の業務はゲームに関係するものがほとんどですが、直接ゲームを制作することはほぼありません。基本的にはゲームメーカーや開発会社がゲームを制作したり販売したりするうえで、お困りの部分や手の回らない部分をサポートすることがおもなサービス内容です。例えばゲームの取扱説明書や関連書籍、公式サイト、販促物、その他もろもろ。

 ただ、そのなかで唯一、ゲーム制作に密接に関わっているのがイラスト業務。ゲーム内に使用する各種イラスト素材の制作を請けおっています。
 具体的には、ゲームに登場するキャラクターやモンスター、武具やアイテム、背景といったイラストのご依頼をいただき、当社ではその条件に応じた作家さん(イラストレーターや漫画家)を手配し、進行や品質を管理しつつ、期日までに納品することがおもな業務となります。ざくっとしたイメージは下図のとおりです。

 もちろん上手なイラストレーターをただ集めればよいというわけではなく、スケジュールや品質、絵柄、ギャランティなど、依頼先の希望とマッチングすることが重要になります。クリエイティヴな現場というイメージはありますが、むしろマネージメントに関する能力が必要な業務でもあるのです。

スタートは作家さんとのコネクション作り

 当社では最初からイラスト業務に携わっていたわけではありません。書籍やWEB制作などを行うなかでイラストを扱うことはありましたが、イラスト自体を供給することはありませんでした。

© 2010-2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

 イラスト業務にはじめて着手したのは2012年頃。ブラウザゲーム、ソーシャルゲームの黎明期からスタートしています。某メーカーさんからの「キャラクターのイラストを集めることはできないか」というご要望に答えるため、イラストレーターと漫画家の区別も曖昧なまま、とにかくゲームに合ったイラストを描ける方々を探すところから始めました。

 おつきあいのある作家さんはもちろんいましたが、それだけではまったく数が足りません。そこで出版社に漫画家への取り次ぎをお願いしたり、コミックマーケットやCOMITIA(コミティア)といった各種イベントに足を運んだり、作家さんを通じて別の作家さんを紹介していただいたりと、当初は何よりまず作家さんとのパイプを作ることに苦心しました。
 そうやって早い次期から継続してイラストレーターを開拓してきたこともあり、今ではスケジュールを確保するのが難しい人気作家の方々とも良好な関係を維持できているのは、当社ならではの強みといえるでしょう。

 今でこそイラスト関連のSNSなどが多数あるため、ジャンルやテイストごとにポートフォリオを検索したり、作家様にコンタクトをとることができ、とても便利になりましたが、当時はそのような環境も整備されていませんでした。ほんの数年前のことなのに隔世の感すらあります。

作家さんとのコミュニケーション

 今ではインターネット環境が向上したおかげで、作家様とお会いすることなく、発注から納品までをメールや電話で行うことも多くなっています。
 一昔前ならイラストレーターという職業はどうしても出版社などが集中する首都圏や大都市でないと成り立たない仕事でしたが、最近ではインターネット環境さえあれば(もちろん実力も)どこでも仕事ができるようになりました。さしずめ“ノマドワーカー”のように働ける作家さんは、勤務場所にしばられているサラリーマンとしてはうらやましいかぎりです。

 とはいえ今でも直接お会いしての打ち合わせはやはり重要です。細かいニュアンスはメール等では伝わりにくいこともあり、スムーズに業務を進めるうえでは大きな意味があります。
 大きな声では言えませんが、学生時代によく遊んだゲームのキャラクターデザイン担当だった方とお会いできるのは役得のひとつ。アポイントがとれたときは、「あのキャラクターを創った方に会える!」と、そのときばかりは心の中でガッツポーズをとっています。

作家やクライアントとの共同作業

© 2015 Matrix 2015 © D3 PUBLISHER

 イラストの制作進行についても、当初はどのように進めればよいのか手探りでした。ゲームの仕様というレギュレーションがあるなかで……

・イラストの魅力的が最大限表現できるようにするにはどうすればいいのか?
・作家様の個性やタッチを活かしつつ、どうやって全体の統一感を出すか?
・レアリティ差分の表現をどうするか?

などなどを作家さんとも相談し、アイディアをいただきながら、ゲーム開発者さんとともに試行錯誤してきました。

 当時の制作物は戦国モチーフの武将イラストが多く、このジャンルはアナログ制作の方も多数いらっしゃるのが特徴です。そのため進め方も作家さんごとにかなりの違いがあるのですが、どうしても進行管理上のイレギュラーが多く発生し、苦労した部分ではあります。ただ、デジタルではなく、実際の紙に書かれた生原稿を拝見できたのはとても貴重な体験でした。

 ちなみに戦国モチーフは今も昔も人気のあるジャンル。キャラクターのテイストも、硬派なものから美男子化・女性化したものなど多彩ですが、息の長いタイトルになることが多いモチーフですので、いつのまにか担当作家さんや著名作家さんのイラストはひと目でわかるようになります。やはり積み重ねは何物にも代えがたいですね。

広がるイラスト業務の世界

© 2014-2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

 ソーシャルゲームが広がりをみせるにつれて、イラストの注文も非常に多様になっています。
 ジャンルとしては、先程もあげた戦国モチーフの武将イラストを中心に、同じく定番の中世ファンタジー、さらにはSF未来ものや学園もの、モンスターなどがありますし、テイストについても美麗系、スーパーリアル、絵似せ、デフォルメなど多様さを増しています。

「コテコテの厚塗りで、力強いキャラクターがほしい!」
「ライトノベルの表紙イラストのような、かわいらしいキャラクターを!」
「デフォルメ系のパキッとしたイラストを勢いのある構図で!」
「版権作品とのコラボするので、原作に忠実なものを!」

 こういった要望に応えるためにイラストレーターを探し求め、今では業務委託契約を結んでいる作家様は2000名以上。日本国内だけでなく、中国や韓国、台湾などのアジア圏のほか、アメリカやポーランド、ロシアといった各国の作家さんと取引があり、作風によってクライアントさんとのマッチングを考えています。
 例えば海外の作家さんには、『マジック:ザ・ギャザリング』のようなリアルテイストの描き手が多いのが特徴。日々、濃い絵を描いていただいております。

課題も増してきたイラスト業務

©bushiroad All Rights Reserved. © 相棒学園/テレビ愛知

 ゲームにとって魅力的なイラストの持つ訴求力は、とても大きいものがあります。そのため多くのクライアントさんが“著名な作家”を指名するのは当然のことといえるでしょう。代表作のある作家さんの需要は高く、そういった方は当社以外からも多数の引き合いがある状態ですので、つねにスケジュールが埋まりがちなのが現状です。

 また、作家さんの側から条件を提示されることも少なくありません。たとえばソーシャルゲームのイラスト制作は不可、差分制作は不可、イラスト公開(画集などへの掲載)ができなければ不可、納期が○ヶ月以上ないと不可などなど。こういった仕事を選べる方々を確保する条件は年々厳しくなっています。

 スケジュールが合うかどうかは、その時々の巡り合わせとなっているのが実情ですが、それでも苦労してスケジュールを押さえた作家さんの力作があがったときは感無量。思わず絵に魅入ってしまうことも少なくありません。

イラスト業務の苦労とは?

 イラストそのものはアートですが、ゲームに使用されるイラストはゲームという商品の一部でもあります。したがってゲームを開発しているクライアントさんが「どんなイラストを必要としているのか?」という点が重要なのですが、当社が継続的にお願いする作家さんは、この点をよく考えてもらっているので非常に助かっています。
 イラストのクオリティは作家さんのポートフォリオを見てある程度判断できますが、仕事に対する意欲や意識となってくると、実際に取引をしてみないとわからないことが多いのです。

 極端な例ですが、なかには発注後に連絡がつかなくなったり、申告の期日に提出がないこともあるため、納期に関しては特に気を使う必要があります。(申告を守ってくれる作家様には本当に感謝しています!)
 とりわけ納期遅延は悩みのタネですが、実力のある方ほどスケジュールに追われていることも多く、また完成までのこだわりが強いこともあるのでしょう。「本当に提出していただけるのだろうか?」と気苦労が絶えません。
 とはいえこうした苦労があっても、実力ある方への継続的な引き合いは多いため、「イラストは実力主義な世界なのだなぁ」とひしひしと感じます。

 また、クライアントさんと作家様との仲介役として、修正内容の伝え方には気をつかうのですが、ときに工程が進んだ段階での構図変更(描き直し)や後出しの修正が発生する場合などは非常に苦労します。こういったトラブルを避けるため、当社では工程管理にグループウェアを導入し、情報共有に努めています。
 制作点数が多い案件などでは、Excelでの管理はどうしても更新が煩雑になり、伝達ミスも出やすくなります。制作における中間コミュニケーションの手間を最小限に抑え、修正や作画チェック、分業などの工程を共有することで、量産体制にも対応しやすくなります。

おしまいに

 最近はソーシャルゲームも非常に進化してきているため、2Dイラストだけでなく、3Dモデルの需要が高まってきています。3DCGはもちろん、3Dモデル用の三面図の依頼や、「スプライトアニメーション」を意識したデータ制作なども増加中ですが、それはまた別の機会に。

 今後も技術の進歩に伴い、イラスト制作の現場も様変わりしていくでしょうが、ゲームの顔ともいえるイラストの重要性に変わりはありません。当社はそんなイラストの制作を通じ、今後もゲーム開発者さんとイラストレーターさん、そしてユーザーさんをつなぐ架け橋になれればと思います。

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