気持ちのよいアニメーションを作るために 〜「アニメーション 12の原則」に基本テクニックを学ぼう〜

 映画が生まれてもうすぐ130年、そしてアニメーションという手法も同じくらいの歳を重ねています。
 ひと昔前まで、アニメーション制作は1枚の絵を何枚も組み合わせて1つのアクションにする、パラパラマンガを描くように作っていました。当然、制作に携わる人はみな絵を描くのが得意な人ばかり、と思われている方が多いのではないでしょうか?

 もちろん上手く描けるに越したことはありません。しかし、今では絵を描くのが得意でなくても、アニメーションの仕事に就くことができます。特に3DCGのアニメーターというポジションは、必ずしも絵を描くことが上手である必要はありません。
 以前の記事「3D・CGの作り方〜入門者のための概略紹介〜」
でもお伝えしたとおり、3DCGの制作には「3Dモデルやテクスチャーを制作するモデラー」、「ボーン構築とモーション自体の設定をするリガー」というように分業で仕事を行います。そのなかでアニメーターの業務は、できあがったモデルに動きをつけるといったパートになるからです。

 そこで今回は、アニメーションを作るための基本テクニックをいくつか紹介しようと思います。昨今、Live2DやSpineといったソフトを使用して、2Dのイラストをアニメーションさせるのが流行していますから、これから自分で描いたイラストを動かしてみたい、これから勉強したいという人はぜひ参考にしてみてください。

アニメーションの12の原則

 実はアニメーションのテクニックには、すでに確立されたテクニックが存在します。すなわち「アニメーションの12の原則」と呼ばれるもので、これはディズニーのアニメーターであるオリー・ジョンストンとフランク・トーマスの共著『ディズニーアニメーション 生命を吹き込む魔法 ―The Illusion of Life―』のなかで紹介されているものです。

1 Squash and Stretch(潰しと伸ばし)
2 Anticipation(予備動作)
3 Staging(演出)
4 Straight Ahead Action and Pose to Pose(逐次描きと原画による設計)
5 Follow Through and Overlapping Action(あと追いの工夫)
6 Slow-In and Slow-Out(両端づめ)
7 Arc(運動曲線)
8 Secondary Action(副次アクション)
9 Timing(タイミング)
10 Exaggeration(誇張)
11 Solid Drawing(立体感のある絵)
12 Appeal(訴える力)

 以上が「アニメーションの12の原則」と言われるものです。今回はこの中から、以下の3つに注目してみたいと思います。この3つの原則は実際に絵を描くときに重なる要素も多いため、まとめて頭に入れておくと役に立ちます。

・Squash and Stretch(潰しと伸ばし)
・Anticipation(予備動作)
・Arc(運動曲線)

Squash and Stretch(潰しと伸ばし)

 Squash(潰し)とStretch(伸ばし)というのは、どういうことなのか?
 これは人や物を描く際、伸縮を取り入れることで、それらの質感や柔軟性を表現するテクニックになります。
 まずは人がジャンプをする姿を見てみましょう。人は地面を蹴るために、膝を曲げて体全体を小さく縮めます。そしてその状態から勢いをつけて体全体を伸ばしてジャンプします。
 この膝を曲げて体が丸くなっている状態がSquash(潰し)、地面を蹴るために体全体がまっすぐになっている状態がStretch(伸ばし)になります。

 逆に、棒立ちの状態からジャンプする絵を描いても、それはまるで柔らかさのない人形、ガチガチの作り物に見えてしまいます。そもそも人間の動きとして不自然ですよね。ポイントは重さと柔らかさをどうやって感じさせるのかということで、それをSquash(潰し)とStretch(伸ばし)によって表現しているということです。
 これはキャラクターだけの話ではなく、ボールが弾む場面などにも同様の効果が得られます。ボールは常に正円の形ではなく、地面に接触したときは潰れた状態、弾むときは縦長に伸びた状態で表すと、より質感や柔軟性を表現できるのです。

Anticipation(予備動作)


 次に起こるであろう動作を予測させる動作、それがAnticipation(予備動作)です。
 たとえばボールを投げるとき、人は体を反らして大きく腕を振りかぶります。ボールを蹴ろうとするとき、脚を後ろに振り上げます。その動作があることで、「あ、この人はボールを投げようとしているな」とか「ボールを蹴ろうとしているな」ということがスムーズに伝わるわけです。左の絵では、膝を曲げ、腕を後ろに大きく振りあげています。すると見ている人は、「ジャンプするのかな、それともバク転するのかも」ということが予想できると思います。このあと実際にジャンプすることで、見ている人は大きな納得感を得られます。

 つまり、こうした次の動きに納得感や説得力を持たせるテクニックがAnticipation(予備動作)ということになります。このシーンで何が起きて、何が起ころうとしているのか?ということをアニメーションで表現するための、大事なポイントになっているのです。
 これは激しいアクションだけでなく、表情のちょっとした変化など(怒鳴る直前に頭から湯気が出ているとか)にも利用されます。

Arc(運動曲線)

 人や動物が動くときは基本的に曲線を描いています。体全体の大きな動きでも、関節の細かな動きでもこれは同じで、昆虫のような生物には例外も多少ありますが、ほとんどの生物は機械のように直線を維持して動くことはありません。
 そうした曲線の動きをアニメーションにも取り入れることで、自然な表現ができるようになります。ジャンプでいうと、跳ぶ寸前から着地までに運動曲線を描いているのがわかります。大きく振りかぶる腕も弧を描くように振りかぶると、リアリティが増します。
 また、予備動作と組み合わせて確認してもいいかもしれません。

 俗にいう「CGっぽい動き」というのは、このArc(運動曲線)がガタガタしていたり、直線的だったりするために起こるものです。気持ちいいアニメーションというのは、もちろんこの運動曲線がきれいに円弧状になっています。

おしまいに

 いかがでしたでしょうか。今回は「アニメーションの12の原則」から、アニメーション初心者に特に役立つと思われる要素を3つ紹介しましたが、他の要素もとても大事です。
 今回ご紹介したテクニックもそうですが、それぞれの要素は独立しているのではなく、みな関連しています。Squash and Stretch(潰しと伸ばし)にはArc(運動曲線)が含まれますし、Anticipation(予備動作)にはSquash and Stretch(潰しと伸ばし)が入ります。
 そういった優れたアニメーションの要素を分解したものが、この12の原則ということになるでしょう。2Dアニメーションの時代に作られた原則ですが、現代の3DCGにおいても十分活かせるものばかり。実際、プロのアニメーターはこれらのテクニックを意識せずとも使っています。
 「かっこいいアニメーションを作ってみたいけれど、どういうふうに作ればいいかわからない」という人は、ぜひ「アニメーションの12の原則」を参考にされてはいかがでしょうか。

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