カナイセイジさんに学ぶ アナログゲームの作り方(後編)

紙のお仕事
2017.05.02

※「カナイセイジさんに学ぶ アナログゲームの作り方(前編) 」はこちら

 じわじわとブームの兆しを見せているアナログゲーム。その裏側をお見せする「カナイセイジさんに学ぶ アナログゲームの作り方」。今回はその後編ということで、「仕様の決定」からお送りします。

■仕様の決定

 ソフトが固まったら次はハードです。ゲームのルールに見合う箱の大きさやカード枚数などの仕様を決定していきます。
 この時点で、最初想定したものとは変わっていることが多いので、しっかりとまとめ直したうえで、試算や印刷所への見積もり打診なども同時に行います。

 このとき特に注意しているのが箱の開けやすさです。フタの大きさはもちろんですが、表面加工によっても開閉のしやすさが異なってきます。日々使うものですから、こういうところに不備があると意外とストレスが溜まります。場合によってはゲーム内容の印象まで悪くなってしまうので、しっかりと調整していく必要があります。箱はとても重要なのです。
 箱以外にも、カードの厚さや表面加工、付属物の仕様についても調整を行います。特にカードは使用頻度が高いため、頑丈さやカードの滑りやすさなど、ゲームによって重視する点を変えて制作しています。
 正直な話、作品によっては予算も限られているため、カードを少し薄くしたり、場合によっては枚数を調整したりするケースも。ソフトとハード、さらにはコストも考慮しつつ、最善のバランスとなるよう調整していくのです。言葉にすると簡単ですが、これもまた実に苦労するところです。

■各種ワイヤーとリストの作成

 ここでキュービストの力の見せどころ、その2です。各制作物のワイヤー(骨組み)を作ります。
 箱やカード、マニュアルのどこにどのような内容を入れるか、見やすさと使いやすさを重視しながら作っていきます。アナログゲームでは文字というより、アイコンを多用することで、一目で何かわかるような工夫も大事です。
 また、どんなカードがあるのか、というリストをエクセル上で制作しておきます。最終的にデータとして一気に流し込みができるほか、修正や検索もしやすく、データベース制作は欠かせません。初回に制作したリストからは数十回以上の修正が行われ、最終的なリストとして完成します。

■イラスト制作/デザイン作業

 アナログゲームに限ったことではありませんが、ゲーム性やバランスだけでなく、箱やカードのデザインは非常に重要です。
 ゲームのテイストにマッチしたイラストレーターの選抜や発注。デザイナーへの依頼等々……もともとイラスト制作やカードや箱のデザイン作業は当社の得意とするところですので、社内の専門スタッフにも協力をあおぎながら進めていきます。

■テストプレイ(+校正作業)〜ルールの調整

 「やってまいりました。第2回テストプレイのお時間です」
 「お疲れさまです」
 「この段階では、実際にデザインもイラストもできあがった状態でプレイするんですね?」
 「そうですね。今回はテストプレイを通して、バグのチェックはもちろん、カードのレイアウトや使用感をチェックします」
 「ここで気づけなかったら、そのまま発売されてしまいますからね」
 「はい。普通にプレイしているとあまり出ない状況なども想定したり、よりよいテキスト表記の追求を行ったりと、やはり根気のいる作業ですね」
 「私たちも気が抜けません」
 「ちなみに、ほかのゲームとのコラボ作品を作ったときは、キャラクター性がしっかりとゲームに反映できているかなども重要な検証点でした」
 「なるほど……。テストプレイはアナログゲーム制作の要ということですね。以上、第2回テストプレイのお時間でした! さよなら〜」

■販売経路の確保

 完成が見えてきたところで、どこで販売するのかを考えます。
 日本では「ゲームマーケット」と呼ばれるアナログゲームのイベントが東京ビッグサイトなどで開催されており、ここで新作がお披露目されることも多いのですが、一般流通としてはAmazonをはじめとするオンラインショップ、あるいは全国の家電量販店やアナログゲーム専門店などで販売されます。
 当社でも上記のような販売先がメインであり、商品によってはメーカーの物販サイトなどで販売していただくこともあります。

 これに並行して各店舗へのリリースを流す作業も行います。リリースというのは、商品を告知する広告のようなものです。メーカーとのコラボ商品などの場合、メーカーに協力をいただいてリリースを発信することもあります。
 リリース自体は、卸業者ごとにフォーマットがあったりして、ひとつの商品でも多数作成することが多くあります。より多くの店舗で扱ってもらうために、そのゲームの魅力を簡潔にわかりやすく説明することが重要になります。このあたりもキュービストの得意分野のひとつです。

■印刷・製造

 ようやく印刷・製造までたどりつきました。いったん製品になってしまえばもう修正はききませんから、失敗はできません。印刷・製造という段階は、一番怖い段階です。そのため印刷所へデータを入稿する前には専門のスタッフによる校正作業が入ります。
 校正作業では誤字脱字やカードのパラメータもそうですが、印刷所に色校正やサンプル品を出してもらい、実際に不備がないかのチェックを行ったり、再度すべての仕様などを見直して問題がないかを確認します。非常に時間のかかる作業ですね。

■発売

 発売日当日は緊張の瞬間です。ここで担当したスタッフが期待することとしては……

・Amazonで高評価のレビューが投稿される
・アナログゲームショップで体験会が行われる
・卸業者から予想外の注文が殺到する
・テレビやニュースサイトで取り上げられる

などがありますが、その反面……

・予想外のミスが発見される
・ルールへの質問が多数上がってくる
・凄い戦法を編み出してしまうユーザーが現れる

などが起こる可能性もゼロとはいえません。
 そこでもし発生した場合は、公式サイトやSNSなどで解説コーナーを設けたり、新たな修正ルールを告知したりして対応することになります。

■アナログゲームの魅力を知ってほしい!

 今、日本ではアナログゲームというジャンルの認知度が非常に高まっています。今回紹介したカードを使用するような手軽にできるものから、時間をかけて大勢で行うものまで、種類もさまざまです。
 これを読んでくれた方が、少しでもアナログゲームに興味を持って、実際に買っていただいたり……もしくは作ってみたい!と思っていただけると嬉しいかぎりです。
 アナログゲームの世界を、あなたもぜひ体験してみてください。

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 『マギアレーナ』 ¥3,240(税込)
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