わかりやすいゲーム取扱説明書の作り方〜年間100本以上を作り出すスペシャリスト

紙のお仕事
2017.04.18

攻略本だけじゃない!取説のスペシャリストでもあるんです!

 キュービストが攻略本を作っていることを知っている方はいらっしゃると思いますが、実はこれまでに数多くの取扱説明書も作っています。
 ゲームソフトに入っている紙の取扱説明書からスタートし、現在はゲームの公式サイトに置かれたものや、ゲーム内に組み込まれたものなど、電子版も制作しています。また、最近ではスマートフォン用ゲームのヘルプの作成も行っております。

 このように紙から電子までさまざまな取扱説明書を作っていますが、根本となる作り方は同じです。
 今回はキュービストがどのように取扱説明書を作っているかを簡単にご紹介していきたいと思います。

 なお、“取扱説明書”の呼び方ですが、実は業界内でも“マニュアル”と呼んだり、略して“取説(トリセツ)”と読んだり、意外にばらばらだったりします。ここでは当社で一般的な“取説(トリセツ)”として説明していきます。

 

取説の作り方

【作り方①】説明すべき箇所を洗い出す

 まずはゲームをプレイして内容を把握します。
 基本的には開発中のロムをお借りしてプレイしますが、開発ロムが用意できない場合はゲームの仕様書だけをいただいて作ることもあります。
 洗い出しで重要なのはユーザー目線でプレイするということ。実は取説の制作チームの人間はそこまでゲームがうまいというわけではありません。でもその方が、ユーザーさんの目線に立ち、説明が必要なシステムや難しいアクションを洗い出し、わかりやすく説明することができるのです。

 さらには洗い出しと一緒にどこまで説明するかを決めることも重要です。
 たとえば、ロールプレイングゲームの後半に特殊なコマンドを持つキャラクターが仲間になる場合は、あえて紹介しません。
 理由は2つあって、1つはそのキャラクターが仲間になることがユーザーさんにとってネタバレになってしまうこと。もう1つは、後半までプレイしていればゲームに慣れてきているので説明がなくても理解できるからです。
 取説はいわば、自転車の補助輪です。ユーザーさんが自分で走れる(ゲームに慣れる)ようになるまでサポートするのが取説の役割ではないかと思います

 

【作り方②】台割を作る

 続いて、取説全体のおおまかなページ構成を考えるために「台割」というものを作ります。
 一般の書籍で台割というと、ページ数と内容を表の形にまとめただけのものですが、当社で取説を制作する場合の台割は、下の図のように大まかなレイアウトまで組んでしまいます(出版や広告業界ではサムネイルや大ラフと呼ばれるものです)。
 ここで気をつけることは、どの順番で掲載するかということです。ユーザーさんが説明を読み進めるなかで自然とゲームのシステムが頭に入ってくる内容にする必要があります。
 たとえばロールプレイングゲームの場合ならこんな感じです。

 

【作り方③】原稿を書く

 作った台割を元に紙面を実際に作っていきます。原稿だけでなく、写真や図解を入れて説明するなど、レイアウトもこのときに決めていきます。
 気をつけるのはやはりわかりやすい構成と文章です。

 たとえば、タイトル画面でメニューを選ぶときの操作について書くとき

■ゲームの始め方
ゲーム機を起動するとタイトル画面が表示されますので、「最初から始める」「続きから始める」「オプション」からメニューを選んでゲームを始めましょう。
「最初から始める」では、主人公の名前を決めて各種設定を行うとゲームが始まります。
「続きから始める」では、作成したセーブデータを選んでゲームを続きからプレイできます。また、データを選んで「削除」を選ぶとセーブデータを削除できます。一度削除したデータは戻らないのでご注意ください。
「オプション」ではゲーム中の効果音やBGMの音量を設定したり、キーコンフィグや画面の明るさなどの設定が行えます。

 さてどうでしょうか。手順を細かく丁寧に書いてはいますが、一文が長くなってしまっています。「オプション」がどんなメニューか気になっても、文章を最後まで読まないとわからず、途中で読む気がなくなってしまう恐れがあります。

 取説はゲームの付属物であり、ゲームのプレイを邪魔してはいけません。当社で上の文章を作成する場合は、以下のように作ります。

■ゲームの始め方
 ゲーム機を起動するとタイトル画面が表示されます。「最初から始める」「続きから始める」「オプション」からメニューを選んでゲームを始めましょう。
○最初から始める
 主人公の名前を決めて各種設定を行うとゲームが始まります。
○続きから始める
 作成したセーブデータを選んでゲームを続きからプレイできます。また、データを選んで「削除」を選ぶと、セーブデータを削除できます。
※一度削除したデータは戻らないのでご注意ください。
○オプション
 ゲーム中の効果音やBGMの音量を設定したり、キーコンフィグや画面の明るさなどの設定が行えます。

 

 いかがでしょうか。知りたいメニューがすぐに探しやすくなったと思いませんか。
 「続きから始める」の「一度削除したデータ~」は特に重要なテキストのため、本文中には入れずに注釈で赤字にしています。
 また、「オプション」に関してはメニューが多い場合は表組を入れて1つひとつ詳しく紹介する場合もあります。

 

【作り方④】デザインする

 原稿とレイアウトが決まったら、デザイン作業に入ります。
 事前にメーカーの担当者さんと方向性についての打合せを行い、基本的にはそのラインにそって作成しますが、ゲーム画面の雰囲気に合わせるなど、おおまかな要望でも問題ありません。
 その場合はゲーム画面を手配してもらい、そのテイストにあわせたデザインに仕上げます。
 説明書のベースとなるフォーマットデザインを作成し、そちらでOKが出ると全体のページデザインに進みます。

 

【作り方⑤】画面写真の撮影&貼り込み

 写真はロムをお借りできれば、当社ですべて撮影します。
 わかりやすさを意識して、その見出しにあった写真を撮影することが基本ですが、アクションゲームなどでは見映えも意識して、動きのある写真を意識することも重要です。

 また、開発が進んで画面表示が変更されることもありますが、その場合は、新しいロムで再撮影も行います。このとき注意したいのが、他の画面も念のため、すべてチェックすることです。メーカーの担当者であってもどこが変更されたかすべて把握しているとは限りません。指示された写真だけでなく、ロムが更新されたときはすべて確認することが大切なのです。
 撮影が終われば、紙面に貼り込んでいきます。

 

【作り方⑥】校正する

 全ページのデザインが終わると校正作業に入ります。
 誤字脱字はもちろん、実機をプレイしてボタン操作があっているか、説明が正しいかどうかもすべてチェックします。
 画面写真の項でも書きましたが、開発途中のゲームでは仕様が変わることが当たり前ですから、操作まわりは特に注意してチェックするようにしています

 また、当社ではデータ納品をする最終段階で、制作者2名で読み合わせを行います。1人が声にだして読み、もう1人がそれにあわせて読み進めるというチェックです。声に出すことで誤字脱字や違和感のある文章などに気付きやすく、最終段階でも間違いを潰すことができます。


 読み合わせが完了したら、データを納品して作業終了となります。
 なお、お客様のご要望によっては印刷製本まで担当することもあり、その際はさらに印刷や製本の仕上がりのチェック、配送手配なども行いますが、これを書き出すとまた長くなってしまうので、また別の機会にお話しできればと思います。

 

こんな取扱説明書もありました

 取説の役割は、ユーザーさんがゲームに慣れるようになるまでサポートすることだと最初のほうで書きましたが、実はもうひとつ大切な役目があります。
 それはゲームを遊ぶ前により気持ちを盛り上げるというもの。
 ゲームの雰囲気がそのまま感じ取れるものが理想ですが、そのためにこれまでいろいろな工夫を重ね、その結果、ちょっと変わった取説が生まれたこともありました。
 ここでそんな変わり種の取説もいくつか紹介しておきましょう。

4コマ漫画の取説

 通常の説明書の合間に4コマ漫画を入れ、よりユーザーさんがゲームの仕様を理解しやすくなるようにしました。
 ゲームのテイストにあった漫画家さんをピックアップし、漫画で効果的に伝わる内容の選別など、すべて当社で行っています。

謎解きを散りばめた取説

 サスペンス系のアドベンチャーゲームの取説で、主人公の手帳をイメージしたデザインにしています。
 ゲーム中の重要な場面をポラロイドの写真として入れたり、ヒントをメモの切れ端や新聞記事などに組み込みました。
 また、ゲームの舞台となる街の紹介ページで、色の付いた文字を散りばめておき、そのページを読んだだけでは色の意味はわかりませんが、そのあとのページに貼られた付箋の色の順に読んでいくと、1つの文章になるという仕掛けを入れ込みました。

絵本のように物語にそって説明する取説

 絵本が舞台のファンタジー系のアドベンチャーゲームで、序盤のストーリーを物語調の文章にし、そこに取説の内容を入れ込みました。
 物語のなかに画面の説明や操作方法を入れ込まなくてはならないため、物語をジャマしないよう、かつ操作の説明として成立させるのが大変でしたが、絵本を読む感覚で楽しめる取説になったと思います。

 

お終いに

 「取扱説明書=取説(トリセツ)」いかがでしたでしょうか?

 当社はこれまで何百冊もの取説を作ってきました。コンシューマゲーム機用の紙の取説から、WEBやゲーム内の電子取説、スマートフォン用のヘルプへと伝える媒体は変わっていきますが、「ユーザーさんに寄り添う説明書を作る」という想いは変わりません。

 ゲームの取説を見るときは、こんなふうに考えて作っているんだなということを、少し思い出していただけると幸いです。

QBIST制作の ゲーム取説 はこちらをご覧ください!

● マニュアル/販促物(実績の一部を掲載しています)
https://www.qbist.co.jp/works/manual.html

 

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