ほしい資料が見つからない! 似たようなデータが多くて間違いやすい! アップデートが頻繁にあるから仕様がいつまでたってもまとまらない!
こんなこと、ありますよね。仕事のデータはやればやるほど溜まるもの。それらをいかに整頓して使いやすい形にするか、お悩みの方も多いと思います。今回のテーマはそんな膨大なデータを活用する“データベース”についてお話しします。
過去の記事でもこれまで何度かお話ししてきましたが、当社ではゲームメーカー様とのお取引が多くあります。そのなかで最近よくご相談を受けている事案のひとつに、ゲームの素材や資料を取りまとめるのが煩わしいということがあげられます。
ご存知のように最近のゲームはシリーズものが多くあります。ナンバリングタイトルや本編といわれる直接のシリーズ作品だけではなく、そこから派生するタイトル(こちらはスピンオフや外伝などと呼ばれたりもします)も少なくありません。ときには本編の世界観や設定を用いて、まったく異なるジャンルとして作られるゲームもあります。
そういったシリーズ作品を制作する際に大変なのが、これまでの設定をきちんと踏襲することです。シリーズ二作目ぐらいならそれほど問題もないでしょうが、息の長い人気シリーズともなれば十作目、十五作目ということも珍しくありません。
そのようなシリーズの続編を制作する際、過去データの引き継ぎが重要となります。完全な続編ともなればグラフィックや固有名詞、セリフの等すべての設定を踏まえる必要がありますが、そこまでいかなくともデータを再利用したり、チェックすることは少なくないでしょう。最近ではゲームのオンライン化が当たり前ですから、ゲームのアップデートも頻繁に行われ、そういうデータの積み重ねも重要となります。
しかもデータが必要なのは制作スタッフに限りません。
ポスターやプロモーションビデオといった販促媒体にもキャラクターなどは使用されますから、プロモーション系のスタッフにもデータは必要です。また、その場合、データというより、このシーンだけを抜き出したいとか、そういう必要性が出てくることもあります。
そういったシリーズ作品のあらゆる情報をすべてまとめたデータベースがあれば、先に紹介した「ほしい資料が見つからない!」などという苦労は大いに軽減されるのではないでしょうか。
基本的にはシリーズ一作目からデータベースで対応するのがベストですが、コストの問題もあり、なかなか人と時間を割けないのが現実のようです。
しかし、無事に作品がヒットし、シリーズ化されると、いつしかデータは膨大になります。しかも、長年続けると担当するスタッフも少しずつ入れ代わるでしょうから、ふと気づけば簡単に対処できない状況になってしまうのです。
データベースの必要性について上で挙げましたが、そもそもデータベースとはどういうものをいうのでしょう。基本的には「特定の条件に当てはまる複数のデータを集めて、使いやすい形に整理した情報の集まり」をいいます。
ここで重要なのが、データは蓄積するだけではデータのままだということです。データは使いやすいように分類できたり、検索できたり、さらにはすぐに利用できるようにしておく必要があり、それらのシステムが合わさってはじめてデータベースとして機能するようになります。
また、データベースは、最終的には活きた情報として役立てなければ意味がありません。データベース構築の初期にはどうしても膨大なインプット作業が必要になりますが、アウトプットありきのインプットだと知っておきましょう。
データベース構築の際に押さえておきたい主なポイントは以下のようなものです。
① 正確なデータを入力すること
いうまでもありませんが入力するデータが不正確では、そこから導く情報も信頼できないものになります。基本中の基本です。
②最新のデータにしておくこと&いつのデータか明らかにしておくこと
正確なデータであっても、それが古いと結果的に信頼できない場合もあります。
また、古くてもかまわない場合でも、そのデータがいつのものなのかは知っておく必要があります。同じ名称のアイテムがあっても、作品によってパラメータが異なるのが普通ですから、それがいつの時点でのデータか把握しておかないと、情報としては間違ってしまう可能性が出てきます。
③データは一元化すること
簡単に整頓して手軽に使うためには、データのベース(基地)はできるだけひとつにまとめることです。たとえばロールプレイングゲームのアイテムデータをまとめる場合、武器や防具を別々にまとめるのではなく、全アイテムを一元化するほうが後々、使いやすくなります。
④データは共有すること
データは多くの人が情報として共有できることが重要です。上でも少し触れましたが、開発スタッフも販促スタッフも同時に使えるようにするだけで、データベースの価値は一気に高くなります。
さらには社内だけでなく、開発や販売に関わる関係各社も利用できるようになると、ますます効率よい運営が可能になります。
⑤セキュリティに注意すること
データ共有を実現すると同時に、セキュリティを万全にする必要があります。データベースは多くの人に使ってもらうことで価値は上がるのですが、リスクも比例して高くなります。必要な人だけがアクセスできるアクセス制御システムも同時に考える必要があります。
⑥扱いやすいシステムであること
データを活用するためには、システムが使いやすいこと。データの入力はもちろん、データがすぐに取り出せ、加工もしやすいことも必要です。たとえばゲームのパラーメータ類を一括して見るだけやテキストでしか利用できないのでは不十分。すぐに表やグラフ化できるようにまとめると、その利用価値は高くなります。
ここで宣伝をさせていただくと、当社では長年にわたりマニュアル作成なども手掛けてきたノウハウがあるので、上のようなポイントも押さえつつ、快適に使用できるゲーム用データベースを構築することが可能です。
資料や素材の整理から始まり、入力用データとして使用する原稿作成や動画撮影、編集、そして仕様を企画し、スタイルガイドとしてまとめあげるところまで、すべて一括して対応します。もちろん完成後の運営やデータ入力もOKです。
たとえば画像のデータベースを作成する際、そのサムネールは必須となりますが、そういうサムネールの見やすさはもちろん、サムネール自体の自動生成システムなども合わせてご提案できます。
いかがでしたでしょうか。データベースのメリットというと、すぐに作業効率化というふうに思ってしまいがちですが、むしろ会社の情報資産として活かすことこそ最大のメリット。会社に眠っているさまざまなデータの価値をあらためて見直してはいかがでしょう。
資料やデータの管理にお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
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