デザイン制作:紙とWebの違いとは

紙のお仕事,WEB・デジタルのお仕事
2018.03.20

 当社は設立当初から、ゲームに関連する書籍や取扱説明書、パンフレットなど、紙媒体の制作物をメインに制作してきました。しかし近年、業務の拡大により、Webや動画制作、スマホアプリなど電子媒体の案件が急速に増加し、今ではその比率も逆転するほどになっています。
 制作スタッフもそれにあわせて紙系の案件からWebや電子系の案件へと業務をシフトしていったのですが、今回はそのなかでデザインという職種についてスポットをあててみました。

 ひとくちにデザインといっても、紙とWebでは、その中身は大きく違います。どちらも見た目は平面でのデザインですし、情報をより魅力的にわかりやすく伝えることが重要というのは共通しています。
しかし、その目的を達成するためのノウハウはまったく異なり、このノウハウについて理解が足りないと、わかりにくいデザインになりがちです。
 では紙とWebのデザインは具体的にどう違うのか、今回はそれについて紹介してみましょう。

(1)全体の方向性について

【紙媒体】
 紙もののデザインの最大の特徴は、デザインだけでなく、印刷される紙の種類や印刷の方法、加工の方法も考えなければならないということです。雑誌などのように最初から定型があるものはそれにしたがえば大丈夫ですが、販促物などではそういった製造に関わる部分まで任されます。
 同じデザインでも、紙の種類や印刷で仕上がりに大きな差が出ますし、ものによっては折り加工で立体的な表現もできるのです。

【Web媒体】
 一方のWebデザインの大きな特徴は、デザインに動きをつけることができるということです。
 また、紙ではみたままをデザインしていけばOKですが、Webでは完成のために、コーディングやアクションスクリプト、SEOなどといったシステム関係の技術が必要になります。この部分は他の専門の作業者に任せることもできますが、最低限の知識は必要ですし、そちらも駆使できるようになれば大きな武器になります。

(2)構成について

【紙媒体】
 紙では紙面のスペースが限られているため、掲載する要素の順番を考え、そのうえでどの情報を目立たせるか意識しないといけません。
 また、そのために雑誌やチラシなどでは、読者の目線を「Z視線」で誘導することが基本となります。Z視線とは簡単にいうと斜め読みのことです。視線が左上から始まり、右上に横移動、その後左下に斜め移動し、最後に右下へ流れるという形を意識してデザインすると、読者もスムーズに読むことができます。

【Web媒体】
 Webではスペースの制限がないので、さまざまなデザインが可能です。基本的にはスクロールを考えた縦視線となります。ただ、縦視線とはいってもまっすぐ下に流すのではなく、最初は左上から右に移動し、続いて最初に見た場所からやや下に移動し、また右に移動という流れで、形としては「F」の動きになります。ということでWebの場合は「F視線」といわれています。
 こちらは基本的に縦に流すので、紙に比べると自由度は高いのですが、Webの場合は見た目の裏にあるコーディングを意識しなくてはいけません。動きを入れるなど、デザインが複雑になるほどシステムの手間やコストなどを考慮することが必要になります。

(3)色について

【紙媒体】
 紙、つまり印刷における色はCMYK=C(シアン)/M(マゼンタ) /Y(イエロー)/K(ブラック)で表現されます。インクによる光の吸収を利用して色を表現するのですが、色域が狭いため、WebのRGB方式に比べると色が沈みがちになります。これを解消するために「特色」というインクを使うこともありますが、その分、コストも増えます。

【Web媒体】
 Webで用いられる色の表現方法はRGB=R(レッド)/G(グリーン)/B(ブルー)です。ライトの発光を利用して表現するもので、色域が広くなり、鮮やかに表すことができます。

(4)フォントや文字について

【紙媒体】
 印刷所の規定にあわせますが、基本的にはフォントは自由に使用できます。また、文字詰めを調整したり、長体をかけることで、スペースに合わせた調整が可能です。

【Web媒体】
 英字は比較的多くの種類のフォントがありますが、日本語フォントはまだまだです。
文字詰めについては調整できないこともありませんが、紙に比べると自由度は低く、また、結局は読者のパソコンやモニターの環境等によって影響を受けてしまいます。

(5)プレビューや校正について

【紙媒体】
 紙の選定などは別に行う必要がありますが、基本は実際のサイズに出力して、校正を行います。紙といえども出力まではパソコンで作業しますから、それまではRGBで色を見ているわけで、いざ紙に印刷してみると色味がけっこう違っていたりして、修正→校正を何度も繰り返すはめになることも。

【Web媒体】
 閲覧するデバイスやその環境によって見え方が変わるので、できるかぎりさまざまな環境で見え方をチェックする必要があります。極端な場合、パソコンでは普通に文字が読めても、モバイルでは小さくて読めないということもあります。
すべてのデバイスや環境にあわせて完全に統一するのは不可能なので、ある程度はデザイン上の妥協も必要になります。

(6)納品、そして納品以後

【紙媒体】
 校正には時間がかかりますが、印刷が終わればひとまず終了です。この時点で失敗があってももう取り返しはきかず、印刷のやり直しになると目も当てられませんが、無事に終了したときはひと安心です。

【Web媒体】
 デザインが終了するとコーディング作業。納品まではまだまだ道半ばです。しかも情報が更新される場合は、むしろ納品こそスタートといえるかもしれません。

■おしまいに

 いかがでしょう。大まかではありますが、同じデザインでも紙ものとWebでこれだけの違いがあります。
 ただし、最初に書いたように、読者へ何らかのメッセージを伝える、情報をわかりやすく伝えるという意味においては、両者に何ら違いはありません。むしろお客様の要望としては、Webサイトとポスターやパンフレットなど紙ものの販促物のイメージを統一するというのが一般的ですので、別々のデザイナーで分担するのではなく、一人でできるのが理想です。
 当社ではゲームをはじめとしたコンテンツを扱うことが多いのですが、どんな媒体であっても、コンテンツの魅力や情報を正確にわかりやすく伝えるデザインを心がけて制作していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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